アマプラビデ王の日々

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ムーンライト~彼は何を欲したのか

 

第89回アカデミー賞®作品賞含3部門受賞。賞レースを席巻した傑作。圧倒的な映像美と情緒的な音楽で綴ったこの物語に、世界中が虜になる。© 2016 A24 Distribution, LLC

 

なかなか興味深い1本でした。

 

黒人って底抜けに明るくて強いってイメージがあるのですが、いろんな人がいますよね。

 

上手く自分の気持ちを表現できないちょっと情けない感じの男の子が主人公です。

 

小さい頃はまだよいのですが、思春期にその性格からいじめの対象になります。

 

学校ではいじめられ、家庭ではドラッグ中毒の母親。
彼が唯一くつろげるのは赤の他人の家という設定ももなかなか面白いです。

 

彼はどこに行っても自分の場所を見つけられない。そして何もかも中途半端。
自分も落ちてしまえば楽だろうと思ったに違いありません。

 

だけども、ここで救世主の登場です。彼にとって初めての経験。
これは彼が自分で立ち上がるために必要不可欠なものだったと思います。

 

成長しても、超が付く金持ちになっても変わらない人間の幹の部分。
彼は変わったけれど変わっていないんですよ。

 

彼の半生はいばらの道ばかりでそれが永遠に続くのかと思うと悲しくなってきてさ。
でも自分自身を拒否して安易な道を歩くことはできないんでしょうね。

 

タイトルどおり月明りのシーンも非常に象徴的です。
ブルーなんですよね。全体的に。このタイトルと描写は素直に受け取っていいでしょう。

 

彼の表の顔が太陽。しかし彼の根底には悲しみ、怒り、欲望といろいろな本心が隠れている。


隠れている部分が月。その月明りの中を疾走したいけれども踏みださない。いや、彼の心が邪魔をして踏み出せないと考えたほうがいいか。

 

あー、もどかしい。なんか切なくなる一本でした。