スタンリーのお弁当箱~インドのいい所だけじゃない、重いテーマも
いつもみんなを笑わせてくれるクラスの人気者スタンリー。しかし彼は家庭の事情でお弁当を持ってくることができない。昼食の時間は一人ぼっち。水道の水を飲んでしのいでいる。
amazonプライムビデオのおすすめで、久々にインド映画があがってきました。
ユニークなタイトルとパッケージの子供たちの写真。
スタンリーのお母さんが病気なのに一生懸命お弁当を作り続けるも、悲しい結末を迎えてしまう、そんなお涙頂戴系の話だろうかと思って見始めました。
登場するスタンリーと彼らの同級生は、小学校4年生あたりでしょうか。
好きな先生がいたり、仲の良いものどうしで集まったり、インドの小学校事情も日本とあまりかわりません。
ところがランチタイムは少し様子が違うようです。
日本では給食があり、みんないっせいにいただきま~すですが、インドではお昼休みになると、各自が自宅から持ってきたお弁当を広げて食べるスタイルの様です。
しかし、スタンリーは毎日お弁当を持ってこれない。
お母さんが忙しいとか、家に帰って食べるとかいろいろと言い訳をしてごまかしますが、仲の良い友人たちも少しおかしいということに気づき始めます。
だけどそれが原因でいじめられることはありません。友人たちが少しずつお弁当を分け与え、みんなで一緒に食べるのです。この辺りは現代の日本ではあまり見かけない風景です。
といいますか、インドでは自分のお弁当という感覚はないみたいですね。
遠足のおやつ交換のように、みんなで一品ずつもちより、シェアして食べるのが一般的なようです。裕福な子は少し多めに食事をもってきますが、決して自慢をすることなくみんなで輪になり分け合いながら食事をします。
スタンリーは貧しい生活をしているようですが、友人たちと仲良く学校に通っておりました。
しかし、一人の先生がお弁当を持ってきていないスタンリーの存在に気づきます。
この意地悪先生も、お弁当を恵んでもらっているくせに、やたらスタンリーに冷たく当たる。
とうとう「弁当を持たないやつは学校に来るな。」とまで言い放ち、スタンリーは大変ショックを受け、登校しなくなります。
「いやいや、お前が言うなよ」と思いますが、どうやらインドはまだ先生の力が強いようで、反抗はできないみたいなんです。
マドンナ先生に助けられるなどして、なんとかスタンリーはお弁当をもって学校に通うことができるのですが。。。
ああ、よかったと思っていたのですがラスト数分がちょっとおかしい。
お弁当を作ってくれたのは母親ではなく一緒に働く店の店員さん。
スタンリーはオーナーらしき男性からひどい扱いを受けています。
彼はまだ小学生ですが、飲食店の店員のようで、学校がない日はウェイターとして働き夜遅くまで皿洗いなどの雑用をしています。
やっと片付けが終わった深夜。さっきまで皿が山積みになっていた台を片付け、そこに薄っぺらく、汚い布団を敷きはじめます。
え?こんなところに寝るの?とびっくりするのですが、どうやらここがスタンリーの定位置の様子。
もう一人の若い男性も地べたにゴザを引いてそのまま寝る。
そしてスタンリーの父親と母親は事故で無くなっていることがわかります。
あれ?これで終わり?とおもったら、ブラックアウト後に表示される数行のメッセージ。
なるほど、これはインドの社会問題を提起する映画だったのですね。
冒頭にスタンリーが殴られたような跡をつけて登校するシーンがあるのですが、それが最後にやっとつながりました。
数年後には中国に並ぶといわれているくらい、経済成長が著しいインドですが、
カーストをはじめいろいろな問題があります。
そういったひどい制度がありながらも、日々食べるものはみんなでシェアしようという文化というか考え方はとても素敵なことだと思います。
また、インドといえばカレーというイメージですが、こう見てみると実にいろいろな料理があることがわかります。
日本のキャラ弁と違って、お弁当にはたいてい1品しか入っていないですが、みんなでシェアするので問題ないのでしょう。
見たこともない料理がたくさんありましたが、どれもおいしそうでした。
最後に、インド映画といえばダンスなのですが、今回は全く踊らず。
やっぱり楽しいときは大勢で踊って欲しいな。
それぞれの国にそれぞれの映画があって面白いですね。