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記者たち 衝撃と畏怖の真実~疑わしきは罰せずは国際社会では通用しないのか

 

記者たち 衝撃と畏怖の真実 [Blu-ray]

記者たち 衝撃と畏怖の真実 [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Blu-ray
 

2017年に公開されたアメリカ映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」は、2003年のイラク戦争開戦前夜に政府の情報操作に立ち向かった実在の記者たちを描いたドラマです。監督はロブ・ライナー、主演にウディ・ハレルソンジェームズ・マースデンロブ・ライナー自身も出演しています。9.11テロ後の愛国ムードが高まる中、真実を追い求めたジャーナリストたちの孤独な戦いを、実話に基づいて描いた硬派な作品です。



2003年イラク戦争の背景 - 大量破壊兵器という虚構

2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「大量破壊兵器保持」を理由に、イラク侵攻に踏み切ろうとしていました。2001年の9.11テロ事件で全世界がショックを受け、アメリカ国内では報復感情と愛国心が高まっていた時期です。

 

しかし結果的に、大量破壊兵器は見つけられなかったんですよ。これね、本当にひどいことだと思いますよ。そりゃー9.11で全世界がショックを受けたのはわかります。もしかしたらイラクは何かしらの兵器を保有しており、アメリカのスパイによる発見を恐れて、あの一瞬で隠したり、処分したのかもしれない。

 

だけど疑わしきは罰せずが基本でしょう。もし確信が持てないのであれば違う方法で喧嘩を売ればよかったんですよ。こちらから挨拶して、お前今メンチ切ったね?処刑ね!って言っているようなものですからね。

 

孤軍奮闘する記者たち - ナイト・リッダー紙の闘い

映画の中心となるのは、新聞社ナイト・リッダーのワシントン支局長ジョン・ウォルコットとその部下たち。ジョナサン・ランデー、ウォーレン・ストロベル、そして元従軍記者でジャーナリストのジョー・ギャロウェイの4人が、政府の発表に疑問を持ち、独自の取材を開始します。

 

やがて破壊兵器の証拠は見つからず、政府の捏造、情報操作であることを突き止めた彼らは、真実を伝えるために批判記事を世に送り出していきます。しかし、ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなど大手新聞社は政府の方針を追認。ナイト・リッダーはかつてないほど愛国心が高まった世間の潮流の中で孤立していくのです。

 

あなたは、周りがみんな賛成している中で、一人だけ反対意見を言えるでしょうか?世論が開戦ムードの中、このメディアはよく頑張ったなと思います。悪いのは開戦に踏み切った側なのに、面と向かって非難されることもあったと思います。

 

圧倒的な軍事力の差という現実

そして、売った喧嘩も圧倒的にアメリカ優勢という一方的なものです。アメリカとイラクでは兵力の差は圧倒的です。アメリカ vs アメリカ以外の国で戦っても、勝てないかもしれないというくらいの軍事力の差があるのですから、いじめ、いやいやアメリカによるイラク人の虐殺みたいなものですよ。

 

私は陰謀説は全く信じないのですが、この事件に関してはいろいろときな臭いことが多すぎる。陰謀説が根強く残っているのも、アメリカの対応がまずかったからだと思いますよ。こんなことやっているからブッシュも靴を投げつけられるんですよ。2回とも神回避したのはすごいと思いましたけど。

 

演出の課題(いわゆる切り抜き問題)

映画の中でたびたび挟み込まれる政治家の発言切り抜きが気になります。これはマスコミお得意の方法ですよね。これを使えばどんな意見だって捏造できちゃう気がして、この映画の信ぴょう性が一気に落ちてしまう。

時間の制約や一般的な視聴者が興味をもって聞ける時間は限られていますが、印象操作されてるような気がして、素直にストーリーに集中できない。

 

そして、衝撃と畏怖っていうのはイラクの作戦名『Shock and Awe』から持ってきているんですね。いろいろと調べていたらわかりました。この作戦名は、圧倒的な軍事力で敵の戦意を喪失させる戦略を指しており、映画のタイトルにこの言葉を使うことで、皮肉を込めた批判の意味が込められています。

そういえば当時、ブッシュに似た人に靴をぶつけるというFlashゲームが流行った記憶があります。とても個人的ですが、ブッシュさんのあの顔、なんとなく嫌悪感があるんだよね。。。

 

まとめ

ドキュメンタリーとしてはなんか物足りない。だって結局は開戦を止められなかったわけですし…。テーマは面白くてよいのになー。もうちょっと面白くできそうなのに、こういう映画が流行るとアメリカ的にまずいんですかね。

 

それでも、この映画が描く記者たちの姿勢は現代にも通じる重要なメッセージを持っています。権力に迎合せず、真実を追い求める姿勢。多数派に流されず、疑問を持ち続ける勇気。それらがいかに大切で、いかに困難なことかを教えてくれる作品です。

 

現代のメディア状況を考える上で一度は見ておきたい作品だと思います。