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オーガストウォーズ~本物の「戦争の音」が響くリアリティ重視の戦争映画

 

オーガストウォーズ (字幕版)

オーガストウォーズ (字幕版)

  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Prime Video
 

2008年8月8日。南オセチアグルジア軍が侵攻。突如として、ロシア軍との戦闘が勃発した-。モスクワで母親のクセーニアと2人で暮らす5歳になるチョーマは、今は離れて暮らす父親に会うため、この日、たった一人でこの地に来ていた。しかし、久しぶりの再会を果たすや否や、父親はグルジア軍の砲撃により即死。チョーマは激戦の最前線に一人きりで取り残されてしまう。息子の危機を知ったクセーニアは、激しい戦闘が繰り広げられる南オセチアへ単身乗り込むのだった…。しかし、彼女はチョーマの目にしている常識を超えた事態をまだ知らなかった。そこは、巨大ロボットと軍用兵器が対峙する、我々の想像を超えた戦場であることを…。 (C) 2011 Glavkino. All Rights Reserved.

 

この映画は、2008年8月8日、ちょうど北京オリンピック開幕の日に勃発した南オセチア紛争を舞台にしています。グルジア(現ジョージア)軍とロシア軍が激突する中、息子が取り残された戦場へと、たった一人で乗り込んでいく母親の姿を描いた物語です。一見すると、どこにでもいる普通の母親が、極限の状況下でとてつもない勇気を示す、そんな普遍的なテーマが根底にあります。

しかし、この作品、ただの戦争ドラマではない。なんと、物語の途中で、想像を絶する巨大ロボットまで登場するという、なんとも意表を突かれる設定が飛び出してきます。

 

圧倒的なリアリティ:本物の「戦争の音」が響く

この映画の最大の見どころは、その尋常ではない戦闘シーンのリアリティにあると断言できます。ロシアが全面協力しているだけあって、登場する戦車や装甲車はまさに本物そのもの。爆発音もハリウッド映画によくある「ド派手に魅せる」タイプではなく、耳の奥に響くような「ドン」や「ドス」といった低い音で、まるで固いものが木っ端微塵に吹き飛ぶような、生々しい臨場感が伝わってきます。こういう演出が、単なるアクション映画とは一線を画す、この作品の「本気度」を表しているんじゃないかと感じましたね。

装甲車の真下で爆発したものもありましたし、隊長のほんの10cmくらい後ろで爆発したものもありました。爆薬班は設定ミスってませんよね?この映画、死者はでていませんよね?

 

登場人物の泥中の美しさ

戦場の只中に身を置く人々が、それぞれに魅力的でした。特に主人公の母親を演じる女優さんは、泥まみれになりながらもその美しさが際立っていて、思わず見惚れてしまいましたね。体を張った彼女の演技には、心を揺さぶられるものがありました。最初は「なんだかなぁ」と思わせるような母親だったのが、極限状況で見せる勇敢な姿には、「やるじゃねえか!」と唸ってしまいました。

それから勇敢な兵士たち、そして敵対するグルジアの兵士たちが垣間見せる人間性もまた、この映画に深みを与えています。なんだよちくしょう。カッコイイじゃないかよ。
かっこいいのに聖人ってチートか?私だったら戦地でヒラヒラスカートをはいた美人が来たら、思わず発砲してしまうに違いありません。

 

家族愛という普遍的なテーマ:戦火の中で芽生える絆

オーガストウォーズ」が描くのは、ただの戦争の悲惨さだけではありません。その根底には、揺るぎない家族愛という普遍的なテーマが流れています。母親が子を思う気持ち、そして、普段は頼りなく見える父親がここぞという時に子供を守ろうとする姿は、多くの観客の涙腺を緩ませたことでしょう。私も、彼らの姿に強く心を揺さぶられました。どんな状況下でも、家族の絆は希望の光になるんだと、改めて感じさせてくれるんですよね。

 

知られざる歴史:南オセチア紛争の複雑な背景

この映画は、2008年8月8日に実際に起こった南オセチア紛争を題材にしています。オリンピックの開催中に、そしてロシア大統領が休暇中に始まったという、まるで計算されたかのような状況は、まさに歴史の皮肉としか言いようがありません。この紛争は非常に複雑な背景を持っており、映画を観ることで、当時の国際情勢や地域の歴史について考えるきっかけにもなります。

 

ちなみに、この南オセチア紛争を扱った作品としては、グルジア政府の協力を得てアメリカで制作された「5デイズ」という映画もあります。こちらは敗戦国側から見た戦争が描かれており、「オーガストウォーズ」とはまた違った視点を提供してくれます。両方を観比べてみるのも、理解を深める上で面白いかもしれませんね。

 

私自身、この映画を観終わった後、「ああ、面白かった!」という感想だけではとても収まりませんでした。むしろ、実際の戦争とは何か、平和とは何か、深く考えさせられました。