【第69回カンヌ映画祭「ある視点」監督賞受賞。第89回アカデミー賞主演男優賞ノミネート。】ベン・キャッシュと6人の子供たちは、現代社会に触れることなくアメリカ北西部の森深くで暮らしていた。父仕込みの訓練と教育で子供たちの体力はアスリート並み。みな6ヶ国語を操り、18歳の長男は名立たる大学すべてに合格。しかしある日入院していた母・レスリーが亡くなり、一家は葬儀のため、そして母の最後のある“願い”をかなえるため旅に出る。葬儀の行われるニューメキシコまでは2400キロ。チョムスキーは知っていても、コーラもホットドッグも知らない世間知らずの彼らは果たして、母の願いを叶えることが出来るのか・・・?
家族とはなんだろう。子育てってどういうことだろうか。
そういう思いで見るべきか、それとも頭のおかしいヒッピーの父親を下げすみ、こんなバカな父親に育てられた子供たちを哀れむべきか。
いやいやそんなことはどうでもよくて、カラフルでとにかくおしゃれな映画の雰囲気を楽しめばよいのか。
視聴後の意見はどこに視点を置くかによってかなりばらけそうな感じです。
私はどちらかというと一番最後ですかね。なんか、この映画のセンスは素晴らしいと思いました。
森で暮らしていた一家は、外出するときに奇妙な格好をするのですが、これがなかなか似合っているのです。
キャラもきれいにわけられ、裸も一つのファッションとして取り入れて、あのバスも車内の様子も。
焚火を囲みながら音楽を即興で奏でるところもカッコいいですし、そのシーンがラストで再びながれる。悲しいというよりかは、楽し気な雰囲気さえします。
女性はより女性らしく、男性は男性らしく、そして子供たちは可愛らしくと全体の調和がとれて他の一般人のほうが異質に感じてしまいます。
反抗期のレリアン・キャッシュ(ニコラス・ハミルトン)は、ウォーキングデッドのダリル役で人気の高い、ノーマン・リーダスのお子さんかと思いましたよ。
キャラもそんな感じだったので、まさかと思ったのですが、まったく関係ありませんでした。でも顔は似ているよなぁ。
そんな感じの映画でした。
と、さすがにこれだけでは薄っぺらいので、家族について少し書き残しておこうと思います。
私はこの父親がやっていることは子供達への虐待だと考えます。
人里離れた山奥に閉じ込めて、書籍を使って教育をする。先生役は父親のみ。
これは父親のエゴであって子育てではない。
権利章典について論じられたからといって、社会はすべて書籍通りにはいかない。
良いことも悪いことも、それから無駄な知識もすべてひっくるめての学習だと思います。
一般社会とのズレを面白可笑しく描写されていましたが、なんとなく意地悪さを感じてしまいました。一生懸命な子供達が本当にかわいそう。
教育はどこからどこまでと線を引くのは難しいと思いますが、そのあいまいさをどれだけ伝えられるか。そして自分が納得できる道をどう選択させるのかが大切だと思いました。
考えなおさなければならない点もたくさんありました。
確かに日本人ってなぜクリスマスを祝うの?とか、ハロウィンってなんか関係あるの?と聞かれても何となくしか答えられないです。
そして何となくやっていることがどれだけ多いか。
とはいえこれは映画の中だけの話です。それにたいして目くじらを立てる必要はありませんので、私はこの映画の雰囲気を楽しむほうにシフトしてしまったのです。
これ、現代はCaptian Fantastic。キャプテンはこの場合父親ですかね。ファンタスティックは素晴らしいという誉め言葉よりも、
風変りとか、奇妙なといった訳を当てはめるほうがよさそうです。
なんではじまりへの旅にしたのですかね。はじまりはどこなのだろうか、どのあたりが旅だったんでしょうか。