アマプラビデ王の日々

プライム会員ならば見放題。人生最高の1本が見つかるまで。。。

Winny~技術を裁いたのは誰だったのか?──今こそ振り返りたい「ネット黎明期」の真実

 

映画の概要:一人の開発者が背負わされた「罪」とは

2023年公開の映画『Winny』は、2000年代初頭の日本で実際に起きた“Winny事件”を題材にした実録ドラマ。ファイル共有ソフトWinny」を開発した東大大学院出身の技術者・金子勇と、彼を弁護した若手弁護士・壇俊光の闘いを描いています。監督は松本優作、主演は東出昌大(壇役)、三浦貴大(金子役)と、実力派俳優が揃っています。


www.youtube.com

「あの頃」を知っている人ほど刺さりますよね

このWinnyがきっかけでP2Pという言葉が有名になったのではないでしょうか。

 

私もあの頃、Winnyを使っていました。ある日突然、「開発者逮捕」のニュースが飛び込んできた。「えっ、これって犯罪なの?」と、正直なところ驚きました。

そして時は流れ、2023年。あの事件が映画になると聞いて、「これは観なきゃ」となったわけです。

見どころ① 技術は悪か?正義か?社会との摩擦が胸に刺さる

Winny』の見どころは、単なる法廷ドラマではないところです。
技術者・金子勇が追い求めていたのは、情報共有の革新でした。P2Pによる分散型のネットワークは、今で言えばブロックチェーンやWeb3にも通じる概念。つまり、彼の発想は時代を先取りしていたのです。

けれども、現実はどうだったか。
「情報漏洩」「著作権侵害」──技術の使い方を誤ったのはユーザーだったにも関わらず、社会の矛先は開発者へと向かってしまいました。

これはもう、技術を知らない人がルールを作るとこうなる、という典型例でした。

 

映画を観ながら考えていたのは、「当時はなぜあそこまで問題視されたのか」ということです。結局のところ、偉い人や重要な機関が使い方を誤って情報漏洩してしまったから、という面が大きかったのではないでしょうか。

 

見どころ② 弁護士・壇俊光の奮闘と「正義」の形

映画のもう一つの柱は、金子を弁護する壇俊光弁護士の視点。
東出昌大が演じる壇は、正直ちょっと頼りなさそうに見えるところもありますが、その分、彼が信念を持って立ち上がっていく姿には心を打たれます。

「技術は中立だ。それをどう使うかは人間の問題だ」この言葉が、本作のテーマのすべてを物語っています。

技術そのものに善悪はないはずなのに、使い方を間違えた人がいたために、技術自体が悪者扱いされてしまった。そんな印象を改めて持ちました。

見どころ③ 日本社会の“保守性”を鋭く突く

「新しいものは怖いから規制しよう」
「意味がわからない技術は使わせない」

こういった反応は、日本社会において決して珍しいものではありません。
でもそれで未来を閉ざしてしまっては、若い技術者の芽を摘むことにもなる。

 

結局のところ、技術をうまく使えるようになればいいんでしょうけど、当時はそれができなかった。社会の側も、技術の側も、お互いに歩み寄れなかった部分があったのかもしれません。

 

今振り返ってみると、もっと建設的な議論ができたのではないかと思います。技術を規制するのではなく、適切な使い方を模索する方向に進めばよかったのに。

 

歴史的背景を押さえておこう:Winny事件とは?

Winnyとは、2002年に公開された日本発のファイル共有ソフト。当時としては画期的なP2P通信を用いた仕組みでしたが、その匿名性を悪用した著作権侵害が多発。

2004年、京都府警は開発者・金子勇著作権法違反幇助の疑いで逮捕。
これは日本初の「ソフトウェア開発者が違法利用を助長したとして逮捕された」ケースでした。

その後の裁判では、2011年に無罪が確定するも、金子氏は2013年に心不全で急逝。享年42歳でした。

さいごに

「技術が社会に追いつかれなかった時代」を描いたこの映画は、今の時代にこそ意味がある。

技術に興味がある人だけでなく、インターネット社会の今と未来を考えるすべての人に観てほしい作品です。

 

オマエモナー(これ、懐かしくて言いたかっただけです)