建築家として華々しいキャリアをもつセレーナは、新たなステップを踏み出そうと故郷のローマに帰ってきた。しかし、イタリアの建築業界は男性中心社会で、ろくな仕事に就けず貯金も底をつく。ある日、公営住宅のリフォーム建築案の公募を知った彼女は男性になりすましてエントリーする。
才能もやる気もある設計士セレーナ・ブルーノのお話です。
ドタバタコメディーなのですが、しっかりと緩急がついていて最後まで楽しめた1本でした。
彼女は世界でひととおり活躍したのち、故郷のイタリアに戻ります。中国やインドに行っていたら、おそらくもっと有名な人になっていたのかもしれません。
でも彼女はそれを望まなかった。自分の生まれ育った故郷のために働くことにしたのです。
イタリアにもどってみたものの、建築業界は男性上位の世界だったため、へんてこな仕事しか回ってきません。
才能があっても活かせないというのは本当に悲しいことですよね。
貯蓄が尽きた彼女は、レストランのウェイターになります。
これも驚きですよね。世界を股にかけて活躍していた建築家が、レストランのウェイトレスだなんて。
ほかに行くところはなかったのかよと言いたくなりますが、これが現実なのかもしれません。
このレストランのオーナーといい感じになるのですが、まさかのゲイ。いい感じにお酒を飲んでいたところで、突然上半身裸になって踊るものですから大笑いです。
自分の才能を活かしたいセレーナは、うそをついて建築デザインの仕事を受注します。
いろいろあってこのイケメンゲイと同じ屋根の下に住むことになるのですが、
次から次へと厄介ごとがやってきます。
これがほんとうに面白かった。奴隷No72とか、セレーナの家族とかなんというか味がありすぎます。
ああ、結局は二人がくっつくに違いないと思っていたのですが、まさかの別ルート。これも驚きました。
個人的にはやっぱりあのオーナーと再婚して欲しかった。そのほうが何というか毎日面白そうじゃないですか?
みんなハッピーになりそうですし、モテなさそうなメガネ野郎には身を引いてほしかった。
無能に描かれていたリパモンティとその付き添いの女性との関係も面白かったですよね。
最後は彼女が会社を牛耳るところまでを想定しましたが、尺の関係があるのかそこまでは語られませんでした。
多少は脚色されていると思いますがどうやらこれは実話らしいです。
イタリアの社会の暗い一面も指示しているんでしょうね。
作中に登場していた若者たちのような人は少なからずいるんでしょう。男性上位の世界とか、私が思っているイタリアとはちょっと違うイメージでした。
映画全体はイタリアらしい明るい感じで描かれ、気楽に見ることができます。
男どもをぎゃふんと言わせるシーンや、父と子の微妙な関係とか、ネタもふんだんに取り込まれており、それらすべてが最後にきれいにまとまる点もよかったです。
週末のひと時に、ちょっと気持ち沈んでいるときに見るとよいかもしれません。