アマプラビデ王の日々

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ブランカとギター弾き~母親はお金で買えると思い込んだ少女の行く末は…

 

今回ご紹介する『ブランカとギター弾き』という映画は、フィリピンの首都マニラを舞台に、孤児の少女と盲目のギター弾きが織りなす感動的な物語です。二人に共通するのは、やはり「孤独」。ブランカの純粋さや無垢さが、観ているこちらの心を揺さぶります。

母親を求めて「お金で買える」と思い込んでしまったブランカ。これを単なる無知と片付けてはいけません。世間を知らないがために育まれた、彼女の純粋で素朴な感情が、この映画の根幹にあると思います。そんな彼女を取り巻く、意地汚い大人たちの現実が、胸に突き刺さる一本でした。

 

映画『ブランカとギター弾き』とは?

2015年に製作されたフィリピン映画『ブランカとギター弾き』は、長編デビュー作となる長谷井宏紀監督が手がけたヒューマンドラマです。フィリピン・マニラに暮らす孤児の少女ブランカ(セーラ・サンチェス)は、母を欲するあまり「お金で買える」と思い込み、小銭を稼ぐために街をさまよいます。そんな彼女が、盲目のギター弾きピーター(ピーター・ミラー)と出会い、共に歌いながら旅をすることで、真の「家族」とは何かを見つけていく物語です。映画の雰囲気はばっちりで、ブランカの美しさも、彼女を取り巻く子供達も、演技とは思えないほどナチュラルに描かれています。


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母を求め、歌で世界を切り開く少女

母親に捨てられたブランカは、お金を稼ぐために盗みを働いたり、人を騙して小銭を稼いでいました。そんな彼女が、盲目のギター弾きピーターと出会い、レストランで歌い手としてまっとうな仕事にありつきます。最初は順調に進むブランカの計画。しかし、良いことはずっとは続かない。意地汚い大人たちの手によって、彼女は何度も傷つけられてしまうのです。

ブランカを売り飛ばそうとする大人がいれば、いろいろと助けてくれたオカマちゃんもいる。彼女を取り巻く環境は、まるでゴミ溜めのような場所なのかもしれません。でも、そんな中で必死に生きている彼女を、私たちは決して否定することはできないでしょう。

この作品は、素直に観て、素直に理解すればいい、シンプルな物語です。フィリピンという国が抱える貧困や児童労働といった社会問題が背景にありますが、それを重々しく描くのではなく、ブランカの純粋な視点を通して、優しく、そして力強く語りかけてきます。

 

映画が描く「現実」と、私たちの心に残るもの

最後に、どうやらこの作品に登場した盲目のギター弾きは実在していたことが分かります。これは、決して映画の世界だけではなく、フィリピンでは現実に起こっていることなんですね。汚い大人も現実、だけど純粋な彼女の心も現実。

 

残念ながら、私自身は汚い大人になってしまったな、とこの映画を観て反省しました。彼女の純粋さに触れたことで、忘れかけていた大切なものを思い起こさせてくれた、そんな心温まる一本でした。