この映画は、2010年にイギリス、ヨークシャーのポンテクラフトという街で実際に起きたとされる心霊現象を基に描かれた作品です。思春期の少女サリーに降りかかる不可解な出来事と、その正体を巡る物語が展開されます。ホラー映画と聞いて身構えていた私ですが、観終わって最初に思ったのは「実話といわれても全然怖くなかった…」でした。
ホラー映画の“怖さ”とは?
「サリー 死霊と戯れる少女」はホラー映画に分類されるようですが、正直なところ、私が考える「怖い映画」ではないです。個人的に「怖い」と感じるのは、得体のしれない何かに少しずつ追い詰められていく感覚とか、希望が次々に絶望に変わっていくような展開なんです。
画面いっぱいに白いものがアップになったり、突然大きな音が響き渡ったりする、いわゆる「びっくりさせる」系の演出は、私はホラーじゃないと思うんですよ。むしろ、心臓に悪いだけというか……。だからこそ、この映画を観始めたとき、「しまったな。。。」と後悔したくらいです。
期待を裏切る展開!幽霊はまさかの“友達”に!?
映画の冒頭、線の細い、ちょっと幸の薄そうな友人が登場します。彼女が実はイマジナリーフレンドで、サリーが少しずつ精神的に追い詰められていく話か、なんてドキドキして観ていました。彼女の登場は突然だったし、周りの人が彼女を見えているような、見えていないようなそぶりをしていたので、余計にそう思っちゃったんです。
ところがどっこい! 彼女は現実の人間で、サリーの親友になっていくんですよ。じゃあ、あの家に住んでいるものは一体何なんだ? と思ったら、中盤に幽霊が姿を現します。しかも、サリーと同じくらいの年頃の少女で、どうやら悪い霊ではないらしい。なんとそのまま、サリーと友達みたいになってしまうという、なんとも奇妙な展開に驚かされました。
「え、じゃあこのままサリーがあっちの世界に取り込まれちゃうの?」と思いきや、それも違う。ここから物語はさらに奇妙な方向へ進んでいくんです。
不誠実な神父とダメダメな両親の“迷”コンビ
幽霊と友達になっちゃうサリーの物語は、途中でさらに怪しげなキャラクターが登場します。悪魔祓いをするという神父が現れるのですが、この神父がまた変わった人物でして、隣の奥さんと“ねんごろな仲”になっているという設定には、思わず笑ってしまいました。そんな不誠実な神父に悪魔を払う能力があるのか、はなはだ疑問だったんですが、なんとか悪のボスキャラを退治しようと奮闘します。
結果的には成功したように見えたんですが、実は微妙に生き残っていて、最後はサリーの友達の幽霊が「ドカーン!」と一撃でやっつけちゃうんですよ。それだけ力があるのなら、最初からやっつけてやれよ、とツッコミを入れたくなりましたね。
そして、この映画で一番印象に残ったのが、サリーの両親のダメっぷりです。あれだけ不可解な現象が起きて、自分たちもひどい目に遭っているのに、なぜか引っ越そうとしない。私だったら、間違いなく速攻で引っ越しますね。さらに、娘のサリーを無条件でしばきまくるんですよ。次の日に謝ればいいってもんじゃないですよ、あれは。あんな理不尽な怒られ方をしたら、そりゃグレちゃいますよ、と心の中で呟いていました。
まとめ:ホラーの枠を超えた“奇妙な体験”を楽しめる一本
「サリー 死霊と戯れる少女」は、ホラー映画というよりは、実話ベースの奇妙な人間ドラマとして観るのが正しいのかもしれません。終始微妙な雰囲気で終わるんですが、それがまたこの映画の“味”なのかもしれませんね。
ホラー映画として観ると肩透かしを食らうかもしれませんが、たまにはこういう変化球的な作品を観てみるのも面白いものです。もし、気になった方がいれば、ぜひ一度観てみてください。きっと私と同じように、色々な意味で「?」となること請け合いです。