アイスランドに住む43歳独身、心優しい大男フーシ。空港に勤めているのに飛行機に乗ったことがなく、同僚には巨体をからかわれ、近所の女の子と遊んでいると幼女誘拐と間違われる。そんな冴えない日々を送るフーシの楽しみは、戦車や兵士の小さなフィギュアでジオラマを作って遊ぶこと。見かねた母は、息子に出会いのチャンスを作ろうとダンス教室を申し込む。しぶしぶ出かけたフーシだったが、そこで金髪の小柄な女性・シェヴンと出会い、陽気な彼女に惹かれていく。しかし実は、シェヴンは心に深い傷を抱えていた。その事を知ったフーシは、恋した女性を守るため、初めて自分から外の世界へ飛び込んでいく・・・!
イケてないおじさんFusiが恋愛をする話。
モテるためにおしゃれして、ダイエットしてものすごくイケメンになりました~って
話でないところが非常にいいですね。
序盤からFusiはひどい扱いを受けますが、中盤少し持ちなおします。
ですが、映画の合間に挟まれる暗く冷たい映像からハッピーエンドで終わらせないという意思を感じました。
いい感じに進むけれども、また拒絶されてしまう。
初めてダンス教室に行った感想を聞かれたとき、Fusiは「3歩進んで2歩下がる」と言いました。まさにこの状態が続きます。
愛しのあの子と一緒に住む話まで出たのに、土壇場で拒絶されてしまうあんなひどい仕打ちを受ける理由はないのですが、彼は何も言わず引き下がります。
その後しばらく連絡を取り合わなかったことから考えると彼は振られてしまったのでしょう。
一人でエジプトへ行くシーン。最後この映画では貴重な彼の笑顔が見られるのです。
私、この笑顔は初めて海外に行くのが楽しみなので思わず出てしまったもので、彼女のことを考えて幸せを感じたからではないと思っています。
最後はやっぱり一人きり。
Fusiは誰も傷つけず、自分自身が一番落ち着く方法を選んでここまでやってきた。例えば、恋愛をしないことや古くからの友人を大切にすること。だけども周りはそういう目でみない。
いい年になって、恋人もおらず、子供のような遊びをしている人はすべて変人なんですよ。
周りからそういう目で見られていることもよくわかっている。だから余計にひきこもる。できることができなくなっていく。
毎日同じようなものを食べ、同じようなスケジュールで動く。ダサいけど悪くないとか、犯罪を犯すような人じゃないというのは決して誉め言葉ではないですが、この言葉が彼を現していると言えます。
私が思うに、Fusiってあの子のことを好きだったのでしょうか。悪く言えば恋愛ってものを誤解している。
目の前に死にそうな子犬なり子猫がいたら助けますよね。たぶんそんな気持ち。
彼女家の窓を破壊して、侵入するのも彼女が恋しかったわけではない。
そうしなければ死ぬと思ったから。料理も掃除も彼女をお風呂に入れたのも同じ理由です。あの店を買うのも異常です。でもそうでしか愛情を表現できなかったんですよね。
かわいそうと思う気持ちと、やっぱり何らかの精神疾患があるんじゃないかという気持ちと、自業自得だよねという気持ち。
私はたまたま結婚して子供ができましたが、Fusiになる素質は十分ありました。
なんだか他人事とは思えないような映画でしたが、やっぱり恋愛映画はハッピーエンドがいいなぁ。