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あまくない砂糖の話~どこまで恐れて、どこまで受け入れるべきなのか

 

あまくない砂糖の話(吹替版)

あまくない砂糖の話(吹替版)

  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: Prime Video
 

映画を見終わってすぐに、「ああ、コンビニでアイスクリーム買ってきちゃおうかな」って思ってしまいました。体に悪いと頭ではわかっているのに、なぜか無性に甘いものが食べたくなる、この不思議な感覚。以前『スーパーサイズ・ミー』を観た後、猛烈にマクドナルドが食べたくなったのとまったく同じ現象で、もしかしたらこれ、逆効果を狙った巧妙なマーケティングなんじゃないかって、少しばかり疑ってしまいました。

 

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この『あまくない砂糖の話』は、そんな甘い誘惑の裏側に隠された、驚きの真実を教えてくれる、実に興味深いドキュメンタリーでした。

 

健康食の落とし穴?:無謀な実験が暴く砂糖の真実

人間は1日に平均でスプーン40杯もの砂糖を摂取しているって、ご存知でしたか? 世の中には「ヘルシー」と謳われる食品があふれているのに、なぜこんなにも多くの砂糖を摂っているのか——。この疑問に、オーストラリアの俳優、デイモン・ガモーが自らを被験者として、驚くべき実験に乗り出します。

彼が挑戦したのは、60日間にわたり「健康」と言いつつ砂糖を大量に含む食品を食べ続け、体と心がどのように変化していくのかを記録するというもの。このエンターテイメント・ドキュメンタリーは、現代社会にはびこる「隠れた砂糖」の危険性に迫り、観る者に食生活への意識改革を促します。


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実験を支える、個性豊かな面々

今回の実験体は、どこかとぼけたような表情が愛らしいデイモン・ガモー。体を張って砂糖の危険性を証明してくれる彼の姿には、思わず応援したくなります。

 

『スーパーサイズ・ミー』と同様、今回の実験でも理解あるパートナーが登場します。しかも、今回は新婚でさらに妊娠中という設定。実験中のデイモンを心配する妻や恋人の存在って、本当に大きいんでしょうね。それにしても、奥様はため息が出るほどの美人で、いやもう、羨ましくなるくらいでしたよ。

 

頼れる専門家集団

そして、この手のドキュメンタリーには欠かせないのが、専門知識を提供する医療チームです。頭が良く、品のある方々が専門的な話をしてくれるんですが、なぜか紹介の仕方がRPGの職業風になっているのが面白い。「BLOOD MASTER」とか「CLERIC」とか、ちょっと笑ってしまいました。こういう遊び心、嫌いじゃないですね。

 

砂糖の「悪」を訴えかける演出

映画を最後まで観て、なんとなく感じるのは「精製された砂糖は悪だ。砂糖は質の悪いカロリーだ。それに自然界にない異性体も含まれている。できるだけ食べないようにしよう!」というメッセージです。ただ、注意深く見てみると、直接的な因果関係が分からないように、あえてぼかしているんですよね。これも『スーパーサイズ・ミー』と共通する手法で、見事なものです。

 

冒頭では「精製された砂糖(スクロース)は、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)で作られており、グルコースは脳を動かすために必要、フルクトースは自然界に貴重なものだから摂りすぎはよくない」という説明がなされます。しかし、果糖ってフルーツにも含まれているのに、映画の中では果物は否定していないんですよね。

 

そして唐突に現れる「異性体」の話。詳細な説明はほとんどなく、言葉だけが繰り返されるのですが、これがまた巧みな印象操作なんです。「異性体」という言葉を聞くと、精製された砂糖が悪いものだと、観客に勝手に刷り込ませるような構成になっています。

 

実験中にデイモンが頭がぼんやりした様子を見せたり、体調が悪そうなシーンをあえて挟むことで、「精製された砂糖は悪」というメッセージを観る側に自然とインプットさせていく。まさに、ドキュメンタリーの手腕が光るところです。

 

甘い誘惑、そして最後に残る疑問

映画の中で、高齢者の歯がボロボロだったのは、本当に「マウンテンデュー」の影響だけなのだろうか、という疑問も残りました。いや、あれは絶対違いますよね? どう見てもドラッグの影響じゃなかろうか、と勘繰ってしまいます。

 

そうそう、一番気に入ったのはラストの歌とダンス! ありますよね、こういう感じのミュージックビデオ。本人が変な格好をしながらノリノリで踊るもんですから、こっちも思わず肩でリズムを取りたくなっちゃいましたよ。

 

『あまくない砂糖の話』は、普段私たちが何気なく口にしている食品の裏側に隠された、砂糖の知られざる顔を教えてくれます。健康志向の方にはもちろん、普段あまり食生活を意識しない方にも、ぜひ一度観ていただきたい一本です。観終わった後、もしかしたら私のように甘いものが無性に食べたくなるかもしれませんが、それもまた、この映画の「罠」なのかもしれませんね。