アマプラビデ王の日々

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怪物はささやく~少年は大人になる。たくさんのものを犠牲にして。~

 

怪物はささやく(字幕版)

怪物はささやく(字幕版)

  • 発売日: 2017/12/30
  • メディア: Prime Video
 

12歳の少年コナーは、難しい病を抱えた母親と2人で裏窓から教会の墓地がみえる家に住み、毎夜悪夢にうなされていた。ある夜、コナーのもとに怪物がやって来て告げる。「今から、私はお前に3つの【真実の物語】を話す。4つ目の物語は、お前が話せ。」しかも怪物は、コナーが隠している“真実”を語れと迫るのだ。頑なに拒むコナー。しかしコナーの抵抗など意にも介さず、その日を境に夜ごと怪物は現れ物語の幕が上がる―。(C) 2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SAU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All RIGHTS RESERVED.

 

好きだけども大嫌い。ほっといて欲しいけども、声を掛けて欲しい。母親と一緒にいたいけれども、自由になりたい。

 

そんな矛盾を抱えたハイティーンのお話だと思いました。

 

ちょっと頼りない雰囲気をもつ主人公コナー。勉強に運動に恋人ともっとはじけてもいい年齢なのに、授業中もぼんやり。家に帰っても絵を描くばかり。さらに同じクラスの男子グループにもいじめられている。

 

何で彼はこんなになっちゃったのか。男なら戦いなさいよと思うのですが、その原因は家庭環境にありました。

 

日々弱っていく母親を守れるのは自分だけだと思っていたのでしょう。
もしかしたら、自分が殴られることで母親の病気の肩代わりができると思っていたのかもしれません。


しかし改善の兆候はまったく現れません。

 

途方にくれるコナーが頼ったのはエントのような大きな木の化け物。いわゆるイマジナリーフレンドです。

 

この木の化け物も彼の心の中をよくあらわしていたと思います。

 

はじめはとても恐ろしい存在として描かれますが、彼を励ますような行動が時折見られます。やっぱり味方なのかと見ていたら、コナーの目の前に現実を突きつける。

 

かわいそうなコナー。

 

今までよく我慢してきたと思います。だけども我慢するだけでは大人になれないのです。

 

これから起こる様々な出来事を受け止め、乗り越えていかなければなりません。

彼が自分を乗り越えるために必要だったのは、素直になること。いやーこの流れもいいですよね。


この年代の男子にとって素直に甘えるとか、素直に謝るってかなり難しいことです。

原題は「A Monster Calls」。このCallをささやくと訳しているんですよ。


怪物とささやく。矛盾する2つの言葉をくっ付けた訳者はいい仕事しているなと思います。

 

最後に、母親の絵を見るシーンも良かった。

 

結局のところ彼を支えたのは母親との思い出なんですよね。コナーが幼い頃あの本を元にお話をしてくれたに違いありません。結果的にその言葉が彼を励まし立ち上がらせたのです。

 

コナーはもう大丈夫。これからいろいろなことがたくさんあると思いますが、きっと乗り切れると思います。


あのモンスターも、二度と彼の前には姿を現さないでしょう。

 

少年が大人になるステップをうまく表現している1本だと思います。