シングルファーザーのデレクは、ある日幼い一人娘を無残にも殺されてしまう。復讐を誓ったデレクは、犯人を見つけ出し自宅の地下室に監禁し、娘の復讐のためにあらゆる拷問を行い、犯人に想像を絶する苦しみを与え続ける。一人の優しい父親が、残忍な本性を徐々に表していく・・・。【恐怖映画/ドラマ】(C) 2013 Daddy's Little Girl, Slaughter FX. All Rights Reserved
はっきり言います。この映画、めちゃくちゃ痛いです。
痛いし怖いし、怖いけど気になって見てしまう──そんな一本。
物語の核は「復讐」。
でも、ただのリベンジ劇ではなく、愛する娘を奪われた父親の“感情”がどう壊れていくのかが静かに描かれています。
デレクという父親、冒頭ではただの善良な男なんですよ。
でも、娘を失ってからの彼の変化は、ある意味で“見もの”です。
後半はほとんど狂気。地下室のシーンが始まると、もはや正義も倫理も吹っ飛びます。
ストーリーはシンプル、でも精神に刺さる
ストーリーらしきものは最小限。あくまで「復讐に至るまでの過程」と「拷問の様式美」を楽しむ映画です。
後半、私は何度か飛ばしてしまいました。スプラッター耐性がない人にはキツいかもしれません。というか、見るのやめたほうがいいです。
でも、その分、痛みの描写に対する“覚悟”がしっかりしているのは評価ポイント。
中でも興味深かったのは、途中に出てくる黒人男性。
リビングでお酒を片手に、拷問の方法についてまるでワインの品評会みたいに語るんですが……彼、いったい何者だったのでしょう?古い友人?それとも復讐コンサルタント?
私だったら──と、つい考えてしまう
もし自分がデレクの立場だったら、同じことをしないと言い切れるだろうか。
正直、私は迷わず“執行”に移ると思います。
犯人が苦しむ姿を見て、スッキリするというより、むしろこちらの内臓がギュッと締めつけられるような、そんな感じ。
「目には目を」という言葉がなぜ生まれたのか、それがここまでリアルに描かれている作品って少ないんですよね。
そして、ラスト。
とどめを刺さない。
この演出がまたいい。
一生苦しめ、という彼の“結論”に納得してしまいました。
原題は『Daddy’s Little Girl』。邦題は必要だったのか?
原題『Daddy’s Little Girl』。
直訳すれば「パパのかわいい娘」──なんとも切ない響きです。
でも邦題は『拷問男』。正直、直球すぎて思わず笑ってしまいました。
とはいえ、原題では逆に観られなかったかもしれません。
内容を考えると、この邦題もアリだなと思います。
気になる伏線や細かい描写も
冒頭でちらっと映る金髪の人物。
「えっ、まさか娘が…」と不安になったのですが、意外な方向で線が消える。
ミスリードにしてはやや雑だった気もしますが、感情を揺さぶられました。
あとは、人形を使ってストレスをぶつけるシーンがあるのかと思っていたら、そうはならない。
拷問対象の選定と動機も、終盤でピースがはまるようにわかります。
誰の心にもある“裁き”への欲求
最近よく聞く「犯罪者への処罰が軽すぎる」という声。
この映画は、その感情をかなりストレートに刺激してきます。
もちろん、冤罪の危険や正義の暴走も考えなければなりませんが、「誰かが裁いてくれるわけじゃないなら、自分がやるしかない」そう思わせる瞬間が、この映画にはありました。