40歳を過ぎた広告マンのレスター・バーナムと上昇志向たっぷりの妻キャロリン。彼らの家庭生活に潜む歪んだ真実が徐々に暴かれていく。妻は夫を憎み、娘のジェーンは父親を軽蔑している。そして会社の上司はレスターにリストラによる解雇を告げる。そんな毎日に嫌気が差したレスターは、人生の方向転換を図る。しかし、自由と幸せを求めるレスターを待ち受けていたのは、あまりにも高価な代償だった。
アメリカ人の素敵な彼女と恋愛をするそんなお話だろうと思っておりました。
前半はややコミカルなシーンも多く、このパパが三下り半を下されたから一気に形勢逆転か?とおもったのですがラストはあんな感じに。
あの状況で私は幸せだといえるパパはちょっとどうかしていると思います。
うだつの上がらない父親、やりての母親、背伸びをするティーンエージャー。
家族の仲は悪く、ちぐはぐの印象をうけますが、それでもなんとか家族の形は保っています。
一方の隣人も問題を抱えています。
うつっぽい母親、暴力夫。そしてやたら物分かりがよさそうな息子。
こちらもバラバラなのですが、傍から見ればきちんとした家族に見えなくもない。
不倫、ドラッグ、芸、退役軍人などとにかくアメリカの毒とか膿といったものが満載の日常。
それでもあえてビューティーというタイトルをつけたのは、汚いことろがでることこそが、より人間らしく美しいからだろうか。
とにかく最後にパパが幸せという理由がわからない。
妻が自分を殺そうと思ったことや、最愛の娘が変な男と駆け落ちをする事実を知らないまま死んでしまう。
現実がどれだけ残酷でも、彼は過去の美しい思い出だけで生きていける。だから幸せなのでしょうか。
だが、それだったらこんなタイトルをつけないような気がします。ラストシーンを何度か見直してみたのですが、結局答えは出ずじまい。
さらにこの映画でどう判断したらよいか迷っているのが2つ。
1つ目はパパを銃殺したのは隣のホモおやじでよいと思うのですが、ママがクローゼットをあけて、パパの服ごと抱きしめるシーンにはどんな意味があるのでしょうか。
ママが家に着いたあと、すぐにクローゼットのようなところに入って泣き始めます。パパの死体を見つけて狼狽してあの行動なのでしょうか。
死体を見て自分が犯人でなければすぐに警察に通報するような気がします。
ということはパパが死んでいることはまだしらない。雨の音で銃声はかき消されていたのです。
ママはあの銃で誰を撃とうとしたのか。パパではなくて、自分自身とか?
結局それができず、あの部屋に逃げ込んで自分自身を嘆いたのでしょうか。
パパがすでに死んでいることも知らずに。
もう1つ、なぜ隣の息子はゲイだと嘘をついたのか。
父親への反抗心を表したいのであればもっと前にそれをすることができたでしょう。
あのタイミングであんなひどい嘘をつくメリットは何もない。
彼は父親がゲイだということは見抜いていたのでしょう。
そして母親をあんなにした父親への復讐として、わざと誤解を解かなかったのだろうか。
それとも彼はあの家族にもううんざりしていたのかもしれない。
いろいろと考えさせられる内容で、楽しむというよりかは人間は何を希望にして生きていけばいいのかと思ってしまいました。
私は今幸せなのだろうか。
幸せと思えば幸せだし、そうでないといえばそんな気もする。
もしかしたらこの映画は幸せについて考えることが目的だったのですかね。
少し古い映画ですが、とても面白い1本でした。見ておいて損はないのでオススメです。
この映画、ちょくちょくプライムビデオ対象外になるので、ダウンロード後はお早めに。