ノーカントリー~なにあの武器、なんだよあの表情
荒野で狩をしていたベトナム帰還兵のモスは、偶然ギャングたちの死体と麻薬絡みの大金200万ドルを発見。 その金を奪ったモスは逃走するが、ギャングに雇われた殺し屋シガーは、邪魔者を次々と殺しながら執拗に彼の行方を追う。事件の発覚後、保安官のベルは二人の行方を探るが、彼らの運命は予測もしない衝撃の結末を迎え・・・。
缶コーヒーBOSSの宇宙人ジョーンズとしてすっかり有名な、トミー・リー・ジョーンズ氏が登場する映画で、今から約40年前のアメリカが舞台ということですから、建物やパトカーなどはやや古い印象があります。
登場するのはサイコパスの殺人鬼。まー、この人の表情としゃべり方が怖いのなんのって。
あの空気銃のようなものはなんだ。
シルバーのガスタンクに入っているものは、圧縮された気体。
レバーを引くことで圧縮された気体はいっきに飛び出し、相手を殺害するのですが、淡々と処理する感じがとても怖い。
途中からは消音機能のついたショットガンに代わりましたが、人の命がこんなに軽くていいのかと思うくらい殺されまくる。
あの雑貨店でのおやじとのやり取り。
コインで賭けたのはもちろんおやじの命でしょう。雑貨店のおやじは何も知らずに命拾いをしたのですが、もしあそこで表裏を間違えてしまったら、その日の夜には屍になっていたでしょう。
前半のシーンがしっかりとした伏線になり、ラストでコイントスの運命に抗おうとした妻とのやりとりもよかった。彼女はいったいどうなったのだろうか。
「選択しない」という結論を出した彼女を、あのサイコパスは殺すことができなかったのではないかと思います。
これまで筋書きどおりに進めてきたサイコパスの彼にも少しだけほころびが出てしまった。これがきっかけとなり、あの事故につながったのです。
この映画を見始めてすぐに思い出したのがシャイニングです。
表情といい、行動といい薄気味悪い。
サイコパスはサイコパスなりのルールで従って動いているらしいのですが、我ら凡人にはその行動原理はさっぱりわかりません。
1つ気になったのがラストシーン。退職したジョーンズが、夢を見たという話をするのです。
ここまでの映画の総仕上げの内容だろうと思ってみていたのですが、どうもつながらない。
アメリカに住む人の暗黙知とか、当時の社会情勢を知らないと理解できない内容なのでしょうか。
うーん、残念。
シャイニングが好きな人にはとくにおススメですよ。