心優しき父親にして、冷酷無比な暗殺者 なぜ彼は殺し続けたのか…? 1964年、米・ニュージャージー。リチャード・ククリンスキー(マイケル・シャノン)はデボラ(ウィノナ・ライダー)という女性と結婚し、幸せな家庭を築いていた。ある日ククリンスキーは、職場に現れたギャングのロイ・デメオ(レイ・リオッタ)に銃を突きつけられるが、まったく動じる素振りを見せない。その並々ならぬ度胸を見込んだロイによって、裏社会へ招き入れられるククリンスキー。やがて彼は、ロイ専属のヒットマンとして血生臭い仕事を請け負うようになり、良き家庭人から謎の連続殺人鬼“アイスマン”へと変わっていくのだった…。(C)2012 KILLER PRODUCTIONS, INC.
こちらも実話を元にして作られた作品です。
殺人鬼というとサイコパス、シリアルキラーという言葉がすぐに思い浮かびますが、少なくとも100人以上を殺害した彼はもはや人間の形をした悪魔と言い切って良いでしょう。
殺すということに何の感情も持ち合わせていないのです。
しかし、自分の家族は何よりも大切にし、女子供は手を出さない。この矛盾こそがサイコパスそのものだと思います。
照明や音楽、風景や人物など華やかさは一切排除され、作品は最初から最後まで悲壮感が漂っていました。破滅にしか向かわないことを確信しながら映画を見ましたが、やはり…。
彼には娘2人がおりましたが、もし息子だったらどうなっていたんだろうと思うと少し怖いです。
彼の家庭環境も複雑だったんだと思いますが、仕方ないで片付けるにしてはあまりにもひどすぎる。最初から最後まで、誰も幸せになっていないというなんともいえない作品でした。
この話を見終わったときに思い出したのは、アウシュビッツの収容所の看守のお話です。何万という人を毒ガス室送りにしながら、家に帰れば暖かい家族が待っており、仕事をねぎらってくれる。
それに矛盾を感じることはなかったということです。
彼らに出会ったら最後、運が悪かったとあきらめるしかないのだろうか。