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GO~恋愛とアイデンティティ、25年前の青春映画

 

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  • 窪塚洋介
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2002年公開なので、もう20年以上も前の作品なんですね。当時の勢いのある若い俳優たちの姿を見て、いまとのギャップに驚くと同時に、やっぱり時間の流れは残酷だなあと感じました。

この映画は「在日」がテーマと言われることが多いですが、やっぱり恋愛映画に分類されるのではないかと思います。映画内でも2~3度「恋愛映画だ」と窪塚さんが言っていますしね。自分のアイデンティティをしっかり持たないと、恋愛すらできない。そんなメッセージが強く響いてきます。

 

映画をざっくり紹介

『GO』(2002年公開)は、金城一紀さんの直木賞受賞作を原作とした青春映画。日本で生きる在日コリアンの高校生・杉原(窪塚洋介)が、自らのルーツに葛藤しながらも、恋や友情を通して「自分とは何か」を模索していく物語です。監督は宮藤官九郎。



当時の空気感と今との違い

2000年代初頭の映画らしく、酒やタバコ、さらには暴力が比較的あたり前のように描かれています。今の価値観で見ると「これはアウトだろう」と思う場面も多い。でも当時の若者のエネルギーを映すには、それくらい過激さが必要だったのかもしれません。今はSNSで鬱憤を吐き出せるけれど、あの頃は拳や酒でぶつけるしかなかった。両方を経験した身としては、やっぱり今のほうが住みやすいですが、若い人には少し窮屈に感じるかもしれませんね。

 

恋愛とアイデンティティ

この映画の大きなテーマは「アイデンティティ」。自分の国籍や名前に縛られるのではなく、何を考え、どう行動するかが大事だと気づかされます。恋愛をするにも、まずは自分自身をどう受け入れるか。これは今の時代にも通じる普遍的なテーマだと思います。

ここ最近は「在日」という言葉を耳にすることも少なくなりました。国籍やルーツは確かに一つの要因ですが、その人の本質を決めるものではない。むしろ話す言語や日常の食文化など、もっと生活に根差した部分のほうが本人の思想や性格に大きな影響を与えるのでは、と考えさせられました。

俳優陣の輝きとその後

主演の窪塚洋介さんはもちろん、山本太郎さん、新井浩文さんも若さが爆発していました。当時の彼らの姿から、いまの彼らを想像するのはなかなか難しい。俳優陣のその後を考えると、映画は楽しさと同時に切なさも感じます。
相手役の柴咲コウさんは、ちょっと不思議ちゃん風で露出高めの役どころ。やんちゃで小悪魔的な魅力を発揮していて、これはかなり印象に残りますね。

クドカンらしい演出

監督はクドカンこと宮藤官九郎さん。重く扱えばギスギスしそうなテーマを、恋愛要素とユーモアで軽やかに描いています。シリアスとコメディのバランスが絶妙で、観終わると「結局これは青春映画だったな」と思わせてくれるのが、さすがクドカン節でした。