正直、この映画を見始めた理由はスノーデン事件への興味ではなく、主演がジョセフ・ゴードン=レヴィットだったから。『インセプション』での独特の雰囲気が大好きで、本作でもきっと何か魅せてくれるはずと期待していました。結果、その期待は裏切られませんでした。
ざっくり映画紹介
『スノーデン』(2016)は、アメリカ国家安全保障局(NSA)の内部告発者、エドワード・スノーデンの実話を描いた社会派ドラマ。
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監督:オリバー・ストーン
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主演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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共演:シャイリーン・ウッドリー
9.11後に祖国に尽くそうと軍に志願するも怪我で除隊。CIAに採用され、持ち前のIT知識を武器に世界中で活躍するスノーデン。しかしやがて知ってしまうのは、アメリカ政府が“民主主義の名の下”に世界中の情報を秘密裏に監視しているという現実。葛藤の末、彼は命を賭けて内部告発へと踏み切るのです。
ジョセフの“なりきり演技”
まず驚いたのは、スノーデン本人に寄せた声。少し鼻にかかった独特のトーンを徹底的に真似していて、最初は「声を加工してる?」と思ったほど。
表情も控えめで、感情を抑えた演技が中心ですが、その分、目や小さな仕草に“内部に秘めた怒りや葛藤”がにじみ出る。派手に叫ぶのではなく、静かに、けれど強く訴えてくる。まさにジョセフの持ち味でした。
普通の青年が“英雄”になる瞬間
スノーデンは、決して派手なアクションヒーローではありません。ただの青年が、目の前の現実を見て悩み、愛する人との生活を守りたいと願いながらも、最後は巨大な国家に立ち向かう。
その“普通さ”を演じきったからこそ、観客は彼に感情移入できます。ジョセフの落ち着いた雰囲気が、この役にはぴったりでした。
社会派テーマの中でも光る存在感
もちろん映画自体は「監視社会」「情報戦争」という重いテーマが軸。でもそんなシリアスな物語の中でも、ジョセフが画面にいるだけで安心感がある。クールでありながら、人間味を失わない。彼だからこそ成り立った作品だと感じました。
感想
『スノーデン』は社会派ドラマでありつつ、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの俳優としての魅力を改めて確認できる作品でもありました。声、仕草、表情すべてに気を配った“静かな熱演”。彼のファンなら必見です。
インセプションを見た時のレビューはこちらです。