ミッド・サマー ~華やかだけど強烈に残酷。こんな組み合わせアリ?
アメリカで暮らす大学生のダニーと恋人のクリス、その仲間たちは、交換留学生であるペレの故郷スウェーデンで夏至(ミッドサマー)に行われる祝祭に誘(いざな)われる。その村では、90年ごとに9日間の浄化の儀式が行われ、人々は着飾って様々な出し物をするのだという。人里離れたヘルシングランド地方、森の奥深く、美しい花々が咲き乱れる“ホルガ村”を訪れた5人は“白夜”のもと、優しく穏やかな村人たちから歓待を受ける。しかし、閉鎖空間の中、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.
後味が悪い映画と聞いていたけど、後味どころかずっと胸が苦しかったわ。久しぶりになんて表現したらよいか困る気持ちになったぞ。
ええー、まず何から書こうか。
やっぱり冒頭の3つの死体からかなぁ。
これ、本編とは全然関係なさそうに描かれているけどそんなことはないんだよね。死というのは身近で悲しい。そして突然やってくる。
これ普通ですよね。こんなシーンなくてもいいという意見もあるけれど、ここで当たり前の感情を示しておくことで、その後の2人の老人の死から始まる一連の出来事が異質なものとして映るわけですよ。
大自然、きれいな花、真っ白な服。穢れなんて知らなそうな人たちなのにやっていることは野蛮で残酷?いいえ、本人たちからしたら普通のごく当たり前の行為です。
ここで部外者である自分達のほうが正常と線を引けるのは冒頭のシーンがあるからだと思います。
アレがなければ完全に第3者としてカルト宗教の映画見ているのと変わらないですもの。
それから異常なことが続くのですが、もう何というか途中からこっちの頭がおかしくなりそうになりますよ。共同体のメンバーの言っていることは至極まともで、私のほうが異端じゃないかと。
だって、楽しそうなんだもん。とっても。そして強い信念みたいなものも感じちゃいましてね。もしかしたら自分もこの輪に入りたいんじゃないかという錯覚に陥ってしまいます。
私はてっきりあの子はボーイフレンドと逃げちゃうのかと思っていました。
若い女が一人抜けるためには一人補充が必要になる。
なので主人公のあの女性を祭り上げて自分は駆け落ち...。そんなチープな内容ではありませんでした。
輪になっていたすシーンもそうとう危険。あんなの目の当たりにしたら私普通に戻れなくなっちゃいますよ。
カマキリのメスは事が済むとお相手のオスを食べちゃうらしいですが、まさにそんな感じなんですかね。。。
ラストで火に包まれた男性が恐怖の声をあげるのも印象的です。
あの段階になってやっと彼は洗脳が溶け、人間に戻ったんですよね。死にたくない、生きたいって。
逆に主人公の女性の最後のほほえみは、不浄なものが浄化されこれでしばらくは共同体は安全とでも思ったのでしょうか。
つまりあの瞬間、彼女はあっち側に行ってしまったのです。
なんというかいろいろ書きたいことはあるけど、いろんなシーンがぐるぐる回って私の頭がいかれてしまいそうになる。
久しぶりに手が止まらないくらい書きなぐってしまった。
映画でこんなこともできるのか。今までたくさん映画を見たつもりでいましたが、とても衝撃的な1本でした。
これはまた見ちゃうかもしれないな。