ゴールデン・イーグル賞 最優秀脚本賞受賞・作品賞他6部門ノミネート ロシア映画批評家組合賞 最優秀助演女優賞受賞 ロシアの名門ボリショイ劇場に、世界的トップ・バレエ・ダンサーが集結!世界的に活躍する本物のバレエ・ダンサーが集結し、世界最高峰と言われるボリショイ劇場で撮影したステージは圧巻の迫力!本格的なバレエシーンの迫力に魅了され、少女たちのひたむきな闘いに胸躍る、豪華バレエ・エンターテイメント!(C)Valery Todorovsky Production Company
バレエを見に行ったことがない私でも、ボリジョイとかプリマとかスワンって名前は聞いたことがありますし、いくつかのシーンが思い浮かびます。
簡単に言うと2人の女性の主役をかけた争いなのですが、超一流の人たちのお話ですから、1年2年といった話じゃありません。
彼女たちが幼少期からすでにバトルは始まっているのです。
ただ、冒頭の少女たちのシーンはちょっと困惑してしまいました。下着で踊るシーンっていりますか?この映画、こんな感じで進むのかとおもうとちょっとがっかりしたのですが、監督はこのひどい現実に対して問題提起したかったのでしょうか。
「私たちはあなたの踊りを見るだけです」と言ってはいましたがねぇ……。
年端もいかない少女たちがなんだか不憫になります。
しかしこの辱めを何とも思わないくらいバレエに熱中しなければプリマにはなれないのかもしれません。
誰もが演技のその完璧さを認めるカリーナ。一方自由奔放だけども華のあるユリア。
少女時代からのこの二人のバトルは始まります。よき友人でもありライバルでもあったこの二人。たくさん練習して、恋をして。
カリーナが体を触らせるシーンはよかったですね。
バレエにすべてをささげたい、だけどもあなたが本当に好きという状況が切なくて涙が出そうになりました。
私は、ユリアのほうが終始実力があったと思っています。
むしろカリーナはユリアにチャンスをもらいながら成長してきた。卒業公演もそう、その後の選考会でもそう。
ユリアは家庭環境が裕福ではなく、いろいろ問題がありました。さらに、遅刻やすっぽかしなんかもやらかして、私なんかがなっていいのだろうかと思っていたに違いありません。
私もはじめは私カリーナ派でした。
稽古の時を見ても、舞台の時を見ても彼女のほうがふさわしいと思っていました。
ところがですね、あのラストシーンですよ。
カリーナの顔がなんかものすごいひどい顔になっているじゃないですか。これまでの落ち着いた表情から、高慢で意地悪な表情。
ええ?なにこの豹変っぷりはと思いました。
あの舞台で踊るというのは相当なプレッシャーがあるのでしょう。誇張ではなくすべてをささげてきた彼女ですから、あんな性悪になるのも仕方がないのかもしれません。
一方、これまでパッとしなかったユリアってあの最後のシーンは本当に輝いていた。
メイクをして衣装を着けて、舞台袖に立つあのシーンは思わず見とれてしまいました。
それから繰り出される高いジャンプ。「華がある」といったおばあちゃんのお話がここでやっと納得ができます。
極限まで絞った体と柔軟性。それから洗練された体の動き。
何年も何年も努力と忍耐を積み重ねるけれども、あの舞台で踊れるのはほんの一握りの天才なんですよね。
だからこそ見るものを感動させるのでしょう。バレエを見たことがない人でも楽しめる作品です。