美しくも妖しい雰囲気のあるパッケージですが、これはファッションモデル業界を舞台にしたホラー映画です。しかも精神的にジワジワ削られるタイプ。油断するとこちらのメンタルにまで支障が出そうなやつです。観るときはちょっと気合を入れた方がいいですね。
ざっくり映画紹介
『ネオン・デーモン』(2016年)は、ニコラス・ウィンディング・レフン監督によるサイコスリラー。
16歳の少女ジェシー(エル・ファニング)が田舎町からロサンゼルスへ出て、ファッションモデルとしての夢を追う物語です。
その“特別な美”によってすぐに業界の注目を浴びるものの、ライバルたちの嫉妬と悪意に飲み込まれ、やがて予想もつかない結末へと突き進んでいきます。
ジェシーの輝きと堕落
田舎から出てきた少し垢抜けない少女に見えたジェシー。しかし実際は服装や髪型のせいでそう見えるだけで、最初から相当な美人です。彼女が輝きを放ったのは、やはりあのスタジオでのプライベート撮影シーン。
皮膚下の血管がうっすらと透け、ほのかにピンクに染まる真っ白な肌に、金箔を塗り重ねられていく。緊張が解けていく彼女の表情がまた美しい。まさに最盛期でした。
しかしその後は変なメイク、変な服装、そして不気味な空気の中でどんどん追い詰められていく。最後は物理的にも精神的にも突き落とされ、彼女は舞台から姿を消してしまいます。
ホラーとしての不気味さ
終盤、ジェシーを蹴落とした3人のモデルが彼女の血をすすり、さらには目玉を食べる…。あの映像はかなり強烈でした。
目玉が象徴するのはなんなのか。
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ライバルを食らう野心
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薬物や整形といった依存
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相手に最大のダメージを与える悪意
外側の美しさの裏に、そんなグロテスクなものが詰まっている。華やかに見える世界の中に潜む不気味さを、あのシーンで突き付けられました。
モデルの美か、それとも怪物か
ジェシーに「あなた、完璧だった」と言わせた女性。細くて顔も小さいのですが、私にはホラー映画の怪物にしか見えませんでした。スタイルが良いのか奇形なのか、もう境目が分からない。
そして一般人の恋人がモデルの一人を見たときに漏らした「怖い」という感想。これが結局、私の意見とも一致します。
まとめ
『ネオン・デーモン』は、美と欲望の裏側をえぐるファッションホラー。金箔に包まれた美しさに目を奪われたかと思えば、次の瞬間には血と目玉の悪夢に叩き落とされる。後味の悪さと薄気味悪さがずっと残る一本でした。
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