アマプラビデ王の日々

プライム会員ならば見放題。人生最高の1本が見つかるまで。。。

何者~SNSと就活に翻弄される若者たち

 

何者

何者

  • 佐藤健
Amazon

朝井リョウさんの原作本を読んだ時、「学生の時に読んでおけばよかった」と思うほど面白かった作品です。就職活動という人生の岐路で、うまくいかずに斜に構えてしまう若者の心理がリアルに描かれていました。

 

書籍では、誰もが「何にでもなれる」と思っていたのに、思い描いたような人生を歩めないと薄々感じている焦燥感や葛藤が胸に迫ってきました。一番重要なのは、自分がただ逃げているだけなのか、それともひねくれているだけなのかに気づくこと。若気の至りと言ってしまえばそれまでですが、こういう若者の心情を切り取った作品は、共感できる部分が多いんですよね。

 

映画『何者』とは?

2016年に公開された『何者』は、直木賞作家・朝井リョウの同名小説を原作とした青春映画です。就職活動を通して、友情や恋愛、自身の将来に悩む大学生たちの姿を描きます。SNSやTwitterでの発言、それぞれの思惑が交錯する中で、彼らの抱える「何者かになりたい」という葛藤が浮き彫りになっていきます。監督は三浦大輔、主演は佐藤健です。


www.youtube.com

 

豪華キャストが演じる若者のリアル

この映画、当時の若手俳優陣が頑張っていましたが、正直なところ「つまらなかった」というのが私の感想です。特に、主演の佐藤健さんとリクルートスーツの組み合わせは、絶望的に似合わないと感じてしまいました。彼もリクルートスーツも悪くないんですが、初々しさや世間を知らない感じがないと、役どころがはまっていないように思えました。

 

また、原作本はもっと退廃的な雰囲気があったような気がします。部屋や居酒屋も、映画ではおしゃれすぎるんですよね。もちろんきれいにしている人もいたと思いますがさすがに映像ほどおしゃれな感じはないですって…。山のように盛られた吸い殻や、徹夜で麻雀をするような、当時の大学生らしい退廃的な描写が欲しかった。

 

原作の良さが伝わらなかった?

唯一良かったのは、二階堂ふみさん演じる理香が、Twitterなどで自分の現状を発信していないと、自分じゃなくなる、といったセリフがあったシーンでしょうか。これはSNSが当たり前になった現代の若者たちを象徴していて、とても印象的でした。

 

時折挟まれる思慮的な描写も、なんだかなぁ、という感じです。1分間で自己紹介をする劇団員たちのシーンは、なぜそこに挟み込まれたのか、つながりがよくわかりませんでした。ラスト付近の佐藤健さんの1分アピールのセリフの前置きとなるのでしょうか、どういうつながりがあったのか読み取れませんでした。

 

一応彼は出演メンバーの中でも就職活動が長く、みんなから頼られているという設定だったのですが、あれじゃ内定もらえないよな、なんて余計な心配をしてしまいました。

 

原作のエッセンスだけを抜き出して、中身は全然違う話になってしまったような気がしました。この本は結構好きだったのに、なんかすこし悲しい気持ちになりました。

 

気を取り直して、違う映画を観ることにします。