オールアイズオンミー~自分とかけ離れすぎてこの人の考えがわからぬ。
NYのスラムで生まれ育った2PAC。ブラック・パンサー党員の母に連れられ、住まいを転々とし、17歳の時カリフォルニアに移り住む。その頃、母親はドラッグ中毒で家庭は酷い有様と化していた。そんな彼はラッパーとなる夢を追い続け、2PACの名でソロデビューを果たし、着々とその名を上げていく。 だがある日、レコーディング・スタジオで強盗に襲われ、被弾。一命を取り留めたが、この事件を仕組んだのは、東海岸のBad Boyレコードに所属するショーン“パフィ”コムズとノトーリアスB.I.G.だと思い込む。西海岸のDeath Rowレコードに所属する2PACは事あるごとに彼らを非難し、ヒップホップ界史上最悪の東西抗争が幕を開けてしまう。そして遂に、2PACはラスベガスで2度目の銃弾を浴びる・・・。
黒人を白人警官が意味も無く殴る、大勢の警官が銃口を向けてくるなどの時折差し込まれる描写から、白人社会に対する強い怒りを感じました。
人種差別に対する訴えなのかと思ったのですが、その観点でのメッセージ性は弱く、20年くらい前の、ラッパーのカリスマのトゥーパックの伝記としてみたほうがよいと思います。
私はこの人のことはまったく知りません。
ラップはほとんど聞き取れず、字幕に頼るのみだったのですがそれだとラップのよさはほとんど無いですよね。彼の音楽性はわからないのでなんともいえないのですが、肝心のトゥーパックも、なめられるからと暴力を振るい、本命が別にいるのに女遊びを繰り返し、お金の計算など面倒くさいことは一切人任せって言うのはどうかなと思います。
案の定、危険な男達がよってきて簡単にはめられてしまいます。
このはめられたと言うのもちょっと違和感がありました。映画ではトゥーパックは悪くないように描かれていますが、正直なところどっちもどっちのような気がします。
裏切ったり裏切られたり。挙句の果てにオレの本心は誰にもわからないって、そりゃまあそうでしょうけど、だからと言って人を傷つけてよい理由にはなりません。
そしてこの当時の文化なのか、黒人特有の価値観なのかわかりませんが、金に女に酒にドラッグに人生の成功を置いている点がちょっと違和感がありました。
わかりやすいといえばそれまでなんですけどね。
ラストは予想していましたが、最悪の結末に。
結局のところトゥーパックは被害者でギャング達によいように扱われただけなのかもしれないと思ってしまいました。
そういう視点で見ると、またこの映画は変わってくるのかもしれません。
途中に意味がよくわからないシーンがもいくつかありましたし、
ラッパーの文化も理解できないしでどうも最後まで腹落ちのしない1本でした。
あんまりこんなこと考えず、酒でも飲んでリラックスして彼のリリックを聴き流す感じでみたらよかったのかな。