高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。それで足りないものは、万引きでまかなっていた。社会という海の、底を這うように暮らす家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、治と祥太は、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねて家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
良いという評判は前から聞いていました。そしてさらに私の好きな安藤サクラさんが登場です。ずいぶんと前からプライムビデオ化されており楽しみにしていたのですが、見てしまうのがもったいないような気がしてしばらく放置しておりました。
昨日やっとこさみたのですが、良かった。本当に良かった。
殺人、死体遺棄は犯罪です。もちろん万引きも。
風俗店で働いたり、クリーニングに出されたスーツのポケットのものをネコババしたり、元夫の家族にたかったりもかなり微妙です。
そんなひどい人たちでしたが、お互いが不平不満を持ちながら、狭い部屋の中で家族の様に暮らしていたのです。
家族の様にという表現はちょっと適切ではないですね。家族として暮らしていたのほうが正しいかと思います。
とある事件から、彼らの犯罪が明るみになり、物語は急展開します。彼らの思いと、あの警官たちのちぐはぐな会話。報道の不確さ。
いやいや、私たちが普段常識と思っていることは、警官たちの意見です。そして私たちが目にするのは報道のほうです。これが本当に面白く考えさせられます。
渦中の彼らにとっては、そんなことどちらでも良いのでしょう。ばらばらになってしまった彼らのその後もとても印象的です。
誰もいない部屋に帰ってきたあの女子高生。家は確かにそこにありました。だけども家族はいない。あの人たちの笑顔や言葉、臭いなんかは消えうせてしまっているのです。
ここは私の家じゃないというセリフが聞こえて来そうなシーンです。
それから子供2人も。どちらも本当にかわいそう。
離れ離れになって、世間一般からしたらめでたしめでたしなのでしょうが、本人たちにとってはどうなのでしょうか?
本当にこれが正しい道だったのかどうか、私には答えられません。自分を心配してくれる人がいるというのは素敵なことですよね。
なんといっても、リリーフランキー氏の演技と言いますか、あの自然な感じ。本当にそのあたりにいそうなダメおやじなんですけど、あったかいんですよ。
安藤サクラさんももちろんすばらしい。この人はやっぱりこういう裏に何かあるような役というか、世間から虐げられている感じの役はほんとうにぴったりとはまります。
それから忘れてならないのが、樹木希林さん。最近この人見るだけで涙が出そうになる。どうやったらこれほどの味が出せるのか。みんなの妹ならぬ、みんなのばあちゃんですよね。
この3者がバランスが秀逸で、演じているとは思えないくらい自然で、ぐっと物語りのなかに入っていける。
家族ってとても身近なのですが、それを表現するのはとても難しく、結局何なのか良くわからないのですよね。
この映画にもいくつかの家族が登場しますが、一番家族だったのってやっぱり万引き家族ですよね。
これはぜひ見て欲しい1本です。