アノマリサ
シンシナティへの出張旅行で決まり切った日常から切り離されたマイケルは、自分に欠けていた何か、あるいは何者かに直面することになる。批評家絶賛、チャーリー・カウフマンの新作には、愛と笑い、そして孤独が絶妙に絡み合っている。
アノニマス(Anonymous:匿名)の言葉をもじったタイトルかな?と思い、少しアンダーグラウンドな映画と思ってみはじめたのですが、なんだこの映画は。。。
アニメと人形劇の中間のような感じの映画ですが、しょっぱなから妙な違和感が。
その原因はすぐにわかります。登場人物の声が主人公の男性と同じなのです。女性も主人公と同じ男性の声なので、頭がこんがらがりそうになります。
この映画おそらく声優は2人のみ。人によって話し方をかえるということは一切していません。
何かを暗示しているのか、何かの効果を狙っているのか。答え合わせはないままに、約90分の映画が終わります。
視聴後の感想としては、孤独な中年男性の頭の中をあらわしたかったんじゃないかと思いました。
家庭もあり仕事もそれなりにやってきた一人の中年男性。
大成したとはいえないまでも、周りから見ればそれなりに幸せそうに見えるのでしょう。ですが、彼の本心は?
読み取ることが出来たのは、仕事のプレッシャー。
自分はたいした人間でもないのに、あらかじめ用意されている高尚な能書きを垂れる必要がある。みんなが自分に注目し、褒め称えるが、自分の心の中はまったく別のことを考えている。
正直言ってこんな講演会くそ食らえだ!
それから、昔の恋人に対する未練。もしあの時彼女と別れていなかったら。今の妻と結婚していなかったらどんな生活だったのだろう。
ひどい扱いをしたことを謝りたい。チャンスがあればヨリを戻したい。あわよくば今夜は・・・。そんなゲスな思いでいっぱい。
そして、不特定多数にモテたいという思い。あえて美人でないほうを選ぶのもわかります。自分のような下等な人間は、不細工のほうが似合っていると思ってしまったのでしょう。
8年もご無沙汰な女性に、癒しを与えるくらいの気持ちなんでしょう。そのほうが優越感に浸れますからね。美人だとこっちが劣等感に悩まされて楽しめないじゃないですか。
しかし、アダルトショップのくだりが良くわからなかった。
子供のおもちゃ屋とは明らかにたたづまいが違いますので「ついうっかり」間違えるわけはないです。
と言うことはやはり何らかの意図があってのこと。
レジの前で手にとった男性を象徴するアレから類推するに、自分のサイズが気に入らないのか(もっと大きくしたい)、男色も試してみようとしてあきらめたとかを暗示しているのでしょうか。
さらに、意味不明だった日本のからくり人形。これはもしかして日本のロボアニメを形容しているのでしょうか。
最近は2次元を愛するかたも結構な数いらっしゃいますので本人もそっち方面を試してみたのでしょうか。
試してみた結果、自分にはあわず、子供のお土産として帰宅後に彼に手渡したのでしょうか。
最後に、家に集まった人にたいして「お前らは誰なんだ」というのも印象的です。
親しげに話をしたり、気をつかってはくれるのでしょうが結局打ち解けることができないのでしょう。
もういい年だから、何者にもなれず、かといっていまから大きな方向転換もできない。
ただただ年をとって死んでいくことは経験から良くわかっているんです。
そのむなしさ、孤独感。
視聴後にこんな感情を抱いたのですが、果たしてあっているのだろうか。なんだか自分のことをしゃべっているみたいな気持ちになってしまいました。
解説をしてもらわないと作者の意図はわからないですね。他の人のレビューを見てみるとこれまたいろいろですね。
一味変わった映画が見たい人はどうぞ。