アマプラビデ王の日々

プライム会員ならば見放題。人生最高の1本が見つかるまで。。。

キャスト・アウェイ~「ウィルソーン!!」の叫びが、ついにわかった日

 

 チャック・ノーランドは、世界宅配便“フェデックス”の敏腕システム・エンジニア。世界中を駆け回り、システム上の問題解決に明け暮れている。一秒も無駄にしないことが彼の信条だった。そんなある日、彼の乗った飛行機が事故を起こす。奇跡的に一命を取り留めたものの、彼が漂流した先は無人島だった。まったく孤立無援の環境に投げ出されたうえ、日常の便宜から切り離され、チャックは生きるために必要な水と食料、寝る場所の確保の問題に直面する。過酷な環境の中、彼は孤独という精神的な試練に対し、ケリーを心の支えに生き抜く。4年が経ち、ついにチャックは無人島から脱出して文明社会の現実へ戻る。だが、そこで彼を待っていたのは、更なる厳しいもうひとつの試練だった……。

 

世の中には「誰もが知っている名作」がいくつかありますが、トム・ハンクス主演のこの作品『キャスト・アウェイ(Cast Away)』も、その一つではないでしょうか。

あらすじは今さら説明するまでもないほど有名ですが、ざっくり言えば、荷物を抱えて空を飛び回る仕事に就いていた男が、飛行機事故により無人島に漂着。そこからたった一人、文明から完全に切り離された極限状態でのサバイバル生活が始まります。淡々と、時に滑稽に、そして静かに絶望が積み重ねられていくのが本作の味です。

 

トム・ハンクスという俳優

実は私にとって、トム・ハンクスは“初めて名前と顔が一致した外国人俳優”*です。
今ではもう少し顔と名前が一致する俳優も増えましたが、当時の私にとってはかなり特別な存在でした。

優しげで、ちょっと頼りなさそうで、でも本当はとても強い。そんな役どころが似合う俳優で、この作品でもまさにそんな彼の魅力が全開です。


劇中ではほとんどセリフがない場面も多く、画面に映るのは彼一人。でも、退屈することがないのは、トム・ハンクスの演技力あってこそ。

 

そして「ウィルソン」の存在

この映画を語る上で絶対に外せないのが、バレーボールの“ウィルソンの存在。
漂着した無人島で、トム・ハンクス演じるチャックが唯一話し相手として扱うのが、偶然拾ったバレーボール。手のひらの血で“顔”が描かれ、彼はそのボールに「ウィルソン」と名付けて語りかけます。

 

このウィルソンの存在があるからこそ、チャックの孤独がさらに際立ち、そして観客は彼の心に深く共感できるのです。

 

そして、あの有名なシーン。
手作りのいかだで脱出しようとしたチャックが、波に揉まれてウィルソンを失ってしまうあの場面——
ウィルソーーーン!!」と絶叫する彼の声。今までネットミームとして何度も見かけては意味が分からなかったのですが、やっと背景ごと理解できました。
あれはただの“ネタ”ではなく、心からの叫びだったんですね。

 

「笑い」と「孤独」の絶妙なバランス

現実に置き換えれば、無人島にひとり取り残されるなんて、恐怖でしかない。
それなのに、この映画では時折“笑ってしまう”ような場面もあります。
それは、たぶんトム・ハンクスの演技が「必死」と「ちょっと間抜け」のギリギリのラインを演じきっているから。
だからこそ観ている私たちは、笑いながら、涙ぐみながら、彼に感情移入してしまうのだと思います。

 

見終わったあとに残るのは「強さ」ではなく「静けさ」

感動作、と言われることも多い本作ですが、見終わったあとの気持ちは意外と静かです。
「よし、自分もがんばろう!」というよりは、「人生には取り戻せないものがあるんだな」という、ちょっと切ない実感。
でも同時に、無人島から帰ってきたチャックの“何かを諦めたような強さ”には、深い説得力があります。

 

名作という“定番”を、改めて体験する喜び

キャスト・アウェイ』は、すでに何百回と語られてきた映画ですが、やっぱり“自分の体験として観る”ことに意味があります。
ネットでよく見る「ウィルソーン!!」のセリフの重みも、見たあとでは全然違って響いてきます。

ついでにもう一つ、個人的には『プライベート・ライアン』の「アパーム、アモー!(弾持ってこい!)」と並んで、ようやく“語れるネットネタ”が一つ増えました(笑)。

 

最後に

言うまでもなく有名な映画ではありますが、まだ観ていない方はぜひ。そして、昔観たけど内容を忘れてしまったという方も、今の自分の年齢で改めて観ると、また違った印象を持つかもしれません。