まったすごいのを引いてしまったな。
主人公である一子(いちこ)を演じるのは安藤サクラ。
冒頭、一子のクズっぷりにびっくりしたのですが、それを象徴するような不幸っぷり。
淡々と進んでいく物語、物語の進行に伴って、一子の表情が、体格がかわる。。。
2時間の間、一子から目を話すことができませんでした。
応援したいのか、同情したいのか。
自業自得だろうと罵倒すればよいのか。
自分自身の中でもいろんな感情がぐるぐる回って、エンディングを迎えました。
一番好きなシーンは、風邪をひいて大きな肉の塊を食べるところ。
このシーン、半分アドリブじゃないかと思っているんです。
肉をかぶりついて、泣いて抱きつくというのがシナリオ。
その前段階の、肉が噛み切れないところ、割り箸が折れるところ、そして笑ってしまうところはアドリブじゃないんですか?
偶然とはいえ、このなんともいえない、わびしく、まずしいシーンが撮れたからこそ、「お前何笑ってんだよ」ってセリフからの抱擁は涙を誘い、電車の中にもかかわらず、思わず上を向いてしまいました。
ああ、これでやっと彼女は居場所を見つけられたのだと思ったのですが、クズの周りにはクズしか集まってこないという。
後半、もう少しお話が続きますが、それは見てのお楽しみです。
最後も本当によかった。一生懸命もがいても、結局自分より少し上しか見れないんですよね。それが現実。
本屋でたまたま手にとった本がむちゃくちゃ面白かった感覚に似ています。
ちょっと人に教えたくなる映画でした。
私は今まで安藤氏のことはまったく知りませんでした。これ以外にも何本かでているみたいなので、見てみます。
映画通を語るにはまだ10年早いですね。