ハードコア
準備はいいか?あなたは今から、愛する人を取り戻すためこの“クレイジーな世界”に放り込まれる。妻であり、絶命したあなたの身体をサイボーグ化し蘇生させた一流の研究者である美女・エステルが、エイカンという奇妙な能力を使うヤツに誘拐されてしまった。道先案内人は変幻自在のジミー。あなたの身体を狙うエイカン率いる傭兵たちを倒し、エステルと“記憶の謎”を取り戻すことが出来れば、あなたの存在する目的と真実を知ることができるかもしれない。幸運を祈る。
冒頭から妙に芝居がかった女性が登場し、私の身の回りの世話をしてくれます。
とても美しい女性で、どうやら彼女は自分の妻らしい。
うーん、なんか怪しい。妻の言うことをどこまで信じていいものかと思案しているといきなり怪しいやつらに襲われます。
超能力みたいなおかしな力を使う赤い男は見るからに強敵で、自分と妻の命を奪いかねないということでとにかく脱出を試みます。
このあたりから、主人公を自分が操作しているような気分になり、これはFPSのゲームの実況中継のような映画らしいということがわかります。
そこからはもう、アクション映画というかゲーム画面ですね。迫りくる敵をナイフや銃、手榴弾で破壊しまくる。
爆発中の車から間一髪で脱出する、バイクに飛び乗り敵を撃破するなど主人公である自分は超人的な動きで、悪いやつらを退治し、物語の真相に近づいていきます。
さまざまな武器を持ちかえ使うシーンはFPSそのものですよね。また、ポーションならぬエネルギーの素みたいなものを倒した敵から回収し、体力を回復していくのも面白い。
そして最後の屋上のシーン。
白い服を着た敵が怒涛のごとく押し寄せてくるのですが、これがすごいと言うかとにかく激しい。
目が回りそうなくらいカメラが動き、酔ってしまう人もいたのではないでしょうか。わけがわからないくらい画面が揺れ動くのですが、主人公である自分は手元にある武器を使ってとにかく戦い、生存していることはわかります。
そしてラスボスの撃破と妻との再会でゲームシーンは終わります。
冒頭と最後で、「You little pussy」って言うのですけどこれはどんなメッセージがあるのでしょうか
軟弱だとか、弱弱しいだとか、女々しいの強い言い方のようなのですが、この言葉がきっかけで主人公は覚醒し、映画のように逞しい男になるのでしょうか。
そして壁に投げつけられて壊されたあの機械はなんだったのでしょうか。どうやって解釈したらよいかわからず悩んでいます。
オートマタ
人間と、彼らを守る二つのルールが組み込まれた人工知能(A.I.)搭載のオートマタが共存する社会。オートマタは砂漠化を防ぐための巨大防御壁の建設や、機械式の雲を作るため、人間に代わる労働力として、必要不可欠となっていた。そんな中、この絶対破ってはいけないルールが破られた。オートマタが改造されたのだ。混沌とした世の中で、ロボットの心が覚醒し、その一方で人間のモラルが崩壊していく。人間とロボット、それぞれの視点での終わりと始まり・・・。未来はどこにいくのか?
近未来の地球が舞台です。
太陽の影響により砂漠化してしまった地球。
砂漠化を阻止するためにロボットを作って緑化を試みるのですが、あまりうまく行かなかったようです。
オートマタは緑化を担当したロボット「ピルグリム7000型」のことを指します。
オートマタの言葉そのものには、自律して活動するロボットという意味はないようですが、少し拡大解釈してこのタイトルをつけたのでしょう。
このロボットには2つのプロトコル(制限事項)が設けられています。
・命を奪ってはならない(生命体を傷つけてはならない)
・自分を含めたロボットの改造を行ってはならない
シンプルでわかりやすいプロトコルですね。
映画の設定はわかった。ヒューマノイドを縛り付けておくための鎖もわかった。なかなか面白そうと見始めたのですが、いろいろとしっくりこない点がいくつかありました。
もう少しポイントを絞ってくれたらよかったのに。
途中までは私の一押しのエクスマキナを越えるかも知れないと思ってたのですが、娼婦役のロボットがかわいくない。
エクスマキナもはじめはかわいいと思えないけれども少しずつ気持ちが変えられてしまい。。。という感じでしたが、これは最初から最後まで感情移入できなかった。
あえてあの顔にしたのでしょうが、母性のようなものを持つものとして進化するのであればもう少し人間に寄せた造形にして欲しかったなと思います。
また、2つのプロトコルは絶対に上書きできないということで、その理由として伝えられたのは人間の知能を越えたロボットが開発したから。
うん、それはわかった。
ではなぜ人知をはるかに超えているにも関わらずアンドロイドのボス的存在はあんなに簡単に銃で打ち抜かれたのだ?
アンドロイドと人間が話をしている姿を見るとどう見てもマヌケにしか思えないのです。
そして、人間側も誰が味方で誰が敵なのかがわからない。
結局あの斜視のボスはロボットがカーネルを作ったことは知っており、改造も可能と言うことをわかっていた。その事実を隠匿するために、主人公を殺害しようとしたで良いのですよね。
公表したらまずいことなのか?むしろ公表して高い知能をもつヒューマノイドと戦うという話でも良かったような気がします。
映画全体としてはとてもよい雰囲気だったのですが、視聴後に「アレ?これ本当に面白かったのか?」と疑問に思ってしまうような内容でした。
沈黙
17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕らえられ棄教(信仰を捨てる事)したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。日本にたどりついた彼らは想像を絶する光景に驚愕しつつも、その中で弾圧を逃れた“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。それも束の間、幕府の取り締まりは厳しさを増し、キチジローの裏切りにより遂にロドリゴらも囚われの身に。頑ななロドリゴに対し、長崎奉行の井上筑後守は「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」と棄教を迫る。そして次々と犠牲になる人々― 守るべきは大いなる信念か、目の前の弱々しい命か。心に迷いが生じた事でわかった、強いと疑わなかった自分自身の弱さ。追い詰められた彼の決断とは―(C)2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.
これはなかなか、見ごたえのある映画を見てしまいました。
日本の江戸時代。キリシタン達は苛烈な弾圧を受けます。同じ日本人であるキリシタン側に感情移入してしまいがちですが、これは宣教師セバスチャン・ロドリゴ神父の心情に注目した作品です。
冒頭に登場する貧しい農民達。彼らの中のモキチ(おそらく漢字にすると茂吉)の演技のすごさに圧倒されてしまいました。
宣教師ロドリゴを見つめる目、そして代官に無実を訴える所作、その後指名付けされた後の「いよいよ来たか」と覚悟と悲しみが入り混じる表情。
キリシタンの置かれている状況は彼を見ているだけですべてわかります。
棄教、つまり『転ぶ』ことはそれほどまでに難しいのでしょうか。
擦り切れて何が書いてあるかすらよくわからないただの絵を踏むだけですよ?
自分の命を賭してまで守るべきなのでしょうか。
「ちくしょ~、なんで踏まないのだ?踏めよ!もういいから転べよ!」となんども叫びたくなるシーンが満載でした。
キリシタンをいじめるだけではキリスト教の根絶は出来ないと考えた役人は、
ロドリゴ神父が棄教しなければ、キリシタンを殺す作戦に切り替えます。
日本をキリスト教の根が生えない沼地にしてしまおうという考え方です。
これを非道と言うべきか、効率的というべきか。
すでに転んだ日本のキリシタンを穴吊り(あなづり)にし、ロドリゴに棄教を迫るわけです。
このまま放っておけば、彼らは必ず死にます。
哀れな子羊を助けられるのは神ではありません。ロドリゴだけなのです。
この矛盾にもだえ苦しむロドリゴ神父。
では神は?神は一体何をしてくれるのでしょうか。彼らが称える神は、沈黙するだけ。何も答えてはくれません。
ロドリゴ神父が最終的に選択した決断は間違っていないと思います。
日本のキャストもかなり演技派がそろっており、私の中の見て欲しい映画ランキングが変わってしまいそうなくらい入り込めました。
久しぶりにみた窪塚氏(キチジロウ役)の演技も良かった。
はじめは酷いやつかと思っていたのですが、彼はたぶん私自身なんです。
弱くどうしようもない人間なのですが、だからといって苦しまないわけじゃない。彼なりに大きな傷や矛盾を抱え、何かにすがりつこうと必死なのです。
タイトルとキリスト教迫害というキーワードから類推できると思いますがこの作品は、遠藤周作氏の沈黙を題材としたものです。
すばらしい演技を見せてくれたモキチは映画監督としても有名な塚本晋也氏ということを視聴後にwikiを見て知りました。
こうなると次は塚本映画に決まりですね。primeビデオで見ることができるものがあるとよいのですが。。。
宗教によって助けられている人も大勢いると思いますが、信仰の違いで戦争やいざこざが発生していることも事実です。
神って、宗教って一体なんなのでしょうか。
私は無宗教というよりかは、八百万(やおよろず)の神を信じている派でどんなものにも心のようなものがあるので大切にしなければならないと思っています。
宗教とはちょっと違うかな?
少し視点を変え、当時の農民と大名の関係ですと、キリスト教が普及したほうが統治はしやすかったんじゃないかと思うんですけどね。
年貢もギリギリまで搾取すればいいですし、大名だけ神職につけるようにして洗礼や婚姻の行事を担えば尊敬もされますし。
とりとめもなくダラダラと書いてしまいましたが、いろいろと考えさせられる作品でした。
ぜひ見て欲しい1本です。