最初から最後まで、まるで自分がゲームの主人公になったかのような錯覚を味わえる映画『ハードコア』。アクション映画好きにはもちろん、ゲーム好きにはたまらない仕上がりでした。観終わった後は「これは映画だったのか?ゲームのプレイ動画だったのか?」と混乱するくらいの没入感があります。
映画をざっくり紹介
『ハードコア』(2015年/ロシア・アメリカ合作)は、世界初の全編一人称視点アクション映画です。サイボーグとして蘇生した主人公が、妻を救うため超能力者エイカンとその傭兵部隊に挑む物語。道中で変幻自在の相棒ジミーに導かれながら、銃撃戦やカーチェイス、爆破アクションを繰り広げます。監督はイリヤ・ナイシュラー、主演は観客=あなた自身。まさに「観る」映画ではなく「体感する」映画です。
FPSゲームの世界そのまま
序盤からすぐに怪しい男たちに襲われ、逃げるしかない展開に突入。そこからはもう完全にゲーム画面。ナイフや銃、手榴弾を使い分け、倒した敵からエネルギーを回収して体力を回復する。まるでFPSでよくある「敵ドロップで回復」という仕組みがそのまま映画に組み込まれていました。
カーチェイスやバイクでの銃撃シーンも凄まじく、視点がブレまくるので「酔う」人は本当に酔います(笑)。でもその臨場感こそ、この映画最大の魅力。ラストの屋上シーンで白い服の敵が次々襲いかかる映像は、狂気の映像体験と言っていいでしょう。
妻と謎の存在
妻エステルは科学者であり、主人公をサイボーグとして蘇生させた張本人。しかし「彼女は本当に信じていいのか?」という疑念がずっとつきまといます。美しく献身的に見えるけど、なにか裏がある…。観客も主人公と一緒に振り回される構造になっているのが面白いところです。
そして、相棒ジミーの存在もユニーク。死んでも別の姿で現れる彼は、言ってみれば「チートキャラ」みたいなもの。ゲームでいうリスポーンを人間的に表現したキャラとも言えるでしょう。
謎のセリフ「You little pussy」
冒頭と最後に繰り返される「You little pussy」というフレーズ。直訳すれば「弱虫」「臆病者」といった意味合いですが、映画では「お前はもうそんな弱い存在じゃないだろ」という覚醒のスイッチのように機能しています。主人公がただの受け身の存在から「戦う男」に変わる転換点を示すメッセージと解釈できると思います。
ラスボスと機械の謎
最後に壊される謎の機械については、主人公の記憶やサイボーグとしての存在理由に関わる装置のようにも受け取れます。つまり「自分の存在の根拠」を破壊することで、人間ではなく戦士として生きる決意を描いているのではないか、と。深読みしすぎかもしれませんが、あの混沌とした映像の中で唯一「主人公の自己決定」を示すシーンだったように感じました。
まとめに代えて
『ハードコア』は、ストーリーを味わう映画ではなく、とにかくアクションを体感するための映画。FPSゲームが好きな人ならニヤリとする仕掛けが満載で、逆にゲームに馴染みのない人には「ただただ激しすぎる映像」かもしれません。でも、90分を一気に駆け抜ける体験は他に代えがたいものがあります。アクション映画というより、アトラクションに近い一本でした。
![ハードコア [Blu-ray] ハードコア [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51sxZShA4ML._SL160_.jpg)