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ガール・イン・ザ・ベースメント|実話が怖すぎて映画より事件が気になる一本

ガール・イン・ザ・ベースメント

ガール・イン・ザ・ベースメント

  • ステファニー・スコット
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映画を観る前にチラッと目に入った説明文。それだけでなんとなく結末まで予想できてしまったのですが、サスペンス系はとにかく事前情報ゼロで観るに限りますね。映画はかなりマイルドに作られていると思います。『事実は小説より奇なり』とはよく言ったもので、実話のほうが圧倒的に恐ろしい話です。

どんな映画?

2021年公開のアメリカ映画、上映時間87分。監督はエリザベス・ローム。18歳の誕生日を目前に控えたサラは、自立を夢見て家を出ようとしていました。しかし厳格な父親に阻まれ、ある日地下室に連れ込まれたまま監禁されてしまいます。家族には「家出した」と信じ込ませ、20年以上にわたる監禁のなかで父親の子供を出産させられるという、目を覆いたくなる実話ベースのサスペンスです。


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元になった「フリッツル事件」とは

「実話を元に」と書きましたが、本当に実話なんです。舞台はフランスでもアメリカでもなく、オーストリアで実際に起きた「フリッツル事件」がモデルです。1984年、ヨーゼフ・フリッツルという男が当時18歳の実の娘エリーザベトを自宅の地下室に監禁。そのまま2008年に発覚するまで24年間、外部に知られることなく監禁を続けました。被害者は地下室で7人の子供を出産し(うち1人は死産)、地上で暮らす家族には「娘が家出してカルト宗教にはまった」と信じ込ませていたといいます。ソーシャルワーカーが何度も家を訪れていたにもかかわらず、誰も気づかなかった。ヨーゼフは2009年に終身刑が確定しています。

映画より、現実はずっと酷かった

映画では地下室の環境がそれなりに描かれていますが、実際の監禁場所は窓もなく天井の高さは170センチほど、湿気とカビ臭が充満し、空気の取り込み口はたった1か所。捜査員が4人入っただけで息苦しくなるほどの慢性的な酸素不足だったと報告されています。映画でマイルドに見えるのはある種の配慮なのでしょうが、現実と並べると別の話になってしまいます。

こんなにアッサリとバレないものなのか

映画を観ながら率直に思ったのは「こんなにバレないものなのか」という疑問でした。お風呂は?日光は?食料の調達は?病気のときは?考え始めるとキリがないんですが、現実の事件では保護された被害者たちはビタミンD欠乏症と貧血で、自然光にさえ耐えられない状態だったそうです。映画ではそのあたりの描写は抑え気味で、どちらかというと父親の支配という構図を中心に進んでいきます。発覚のきっかけも現実の事件と同様、監禁中に生まれた子供の容体が悪化したことでした。現実って意外とアッサリしてるんですよね、バレ方が。

父親の正体、もう少し引っ張ってほしかった

この映画でちょっともったいないと感じたのは、加害者が誰なのかわりと早い段階でわかってしまう点です。実の父親が娘にそういうことをするというのは、衝撃的かつ絶対に許されないタブーなわけで、その正体を後半まで引っ張るミステリー仕立てにしていたら、もっと重い一撃になったはずです。監禁されている人物が誰なのかをしばらく見せないとか、父親だと気づかないような見せ方をするとか。惜しい。

救出された後のこと

エリーザベトと子供たちは事件発覚後に新しい身元を与えられ、現在は非公開の場所で暮らしています。近親相姦による出産という事情から、遺伝的な問題を抱えている子供もいます。それでも2021年の報道では、エリーザベト自身はパートナーと共に、子供たちとも良好な関係を保ちながら静かに生活しているとのことです。24年間あの地下にいた人が、それでも人生を続けているという事実だけは、少し胸に残ります。