登場人物たちの雰囲気や顔立ちは日本人とそっくりですね。特にグレース役(イッサヤー・ホースワン)の彼女なんか、とても親近感を覚える顔立ち ーー 端的に言えばかわいいってことです。物語はカンニングを題材にしていますが、単なる学園モノではなく、貧富の格差や社会の歪みを鋭く描き出していました。特に「バンク」というキャラクターが私には深く刺さりました。
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映画をざっくり紹介
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)は、タイ発の大ヒット映画。天才女子高生リンが、同級生たちに試験の答えをカンニングさせるビジネスを始めることから始まります。最初は小さな内輪の不正が、やがて国際試験「STIC」を巻き込む大規模な計画に発展していきます。実際に起きた試験漏洩事件をモチーフにしているため、リアリティと緊迫感が抜群です。
日本人と見間違う登場人物たち
登場する高校生たちは、どう見ても日本人にしか見えません。特に金持ちカップルの男女(男:パット、女:グレース※かわいい)は、一昔前の日本映画に出てきそうなしっかりした顔立ち。文化や人種を超えて「同じ高校生」として違和感なく受け止められるのも、この映画が日本人に響く理由のひとつでしょう。
バンクという悲劇的な存在
本作で最も心に残るのは「バンク」です。家庭が貧しく、勉強と家業の手伝いを両立しながら優秀な成績を維持している。その努力の尊さは計り知れません。しかし物語が進むにつれ、彼は何度も裏切られ、最後には退学・転落という運命に追い込まれていきます。クリーニング店を継いで真面目に生きていくのかと思いきや、まさかの闇落ち。正直、彼の結末には胸が痛みました。苦労人だからこそ、本当は正当に報われてほしかった。
カンニングの工夫と緊張感
指の動きを使った合図や、鉛筆にバーコードを仕込む方法など、トリックの数々は思わず「なるほど」と唸らされます。中でも国際試験の時間差を利用した解答漏洩は、実際の事件を下敷きにしているため迫真のリアリティ。観客はカンニングの是非を超えて、そのスリルに引き込まれてしまうのです。
お金持ちと貧しい者との対比
金持ちカップルの「海外旅行ぐらい当然でしょ」という感覚には、日本との文化の違いも感じました。高校生が親に内緒で海外に行くなんて、日本ではなかなか考えられません。タイでは高校生はもう大人扱いなのか?と想像を巡らせるのも面白い視点です。
キャストへのひとこと
主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン(リン役)は、クールで知的な演技が印象的。バンクを演じたチャーノン・サンティナトーンクンは、真面目で不器用な青年像を見事に体現しており、彼の存在が作品を単なる「カンニング映画」以上のものにしていました。
『バッド・ジーニアス』は、スリルある試験シーンだけでなく、タイ社会の光と影を凝縮した青春映画です。観終わったあと「カンニングは不正」と分かっていても、彼らの選択や苦悩を一概に責めきれない。そんな複雑な感情を残す一本でした。
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