「これ全部ヴァーバルの作り話?」という感覚はなんとなくあったんですよね。でも最後まで確信には至らず、ラストで改めて気づかされる、という感じです。これが作られたのが1995年というから驚きです。いい映画って本当に色あせないですね。
あと髪型。なんというか当時はあんなのはやったのかな…。まじめに見るとちょっと吹き出したくなりますよね。
映画をざっくり紹介
1995年製作、ブライアン・シンガー監督のクライムサスペンスです。上映時間は105分。5人の犯罪者が集められ、ある麻薬密輸船の爆破事件に巻き込まれていく——という構成なのですが、語り手であるヴァーバル・キントの「証言」という形で物語が進んでいきます。脚本のクリストファー・マッカリーは本作でアカデミー脚本賞を受賞、主演のケヴィン・スペイシーも助演男優賞を受賞しています(第68回、1996年)。
なんか怪しいな、とは思っていた
この映画の仕掛けの核心は、「語り手=信頼できる存在」という映画の暗黙のお約束を逆手に取っているところにあります。ヴァーバル・キントは取調室で関税局の捜査官クイヤンに事件の一部始終を語って聞かせます。観客はその話を「映画として」見せられるわけですが、実はその映像のかなりの部分がヴァーバルの即席の作り話だった——というわけです。 取調室の壁に貼られたポスター、コーヒーカップの裏の文字、目についたものを手がかりにその場でストーリーを組み上げていく。改めて見返すと、あちこちに「出所」が見えてきます。2回目のほうが確実に楽しめる作りになっています。
カイザー・ソゼという存在
伝説の犯罪者「カイザー・ソゼ」。劇中では「実在するのかどうかも定かではない」とされていますが、ラストでヴァーバルこそがカイザー・ソゼ本人であったことが示唆されます。 ただ、「すべてがでっち上げか」というと、そこはもう少し複雑です。麻薬取引の存在自体は事実らしい。それを阻止したのも事実かもしれない。でも正直、観終わったらそのあたりはどうでもよくなっていました。「俺はずっと騙されていたのか」という感覚の方が残る映画です。
ケヴィン・スペイシーという存在感
ヴァーバル・キントを演じたケヴィン・スペイシーは、左半身に障害を持つ小柄な詐欺師という役どころを、あの独特の不敵な笑みで体現しています。
アカデミー助演男優賞を受賞した演技ですが、確かにこの映画は彼なしには成立しなかったと思います。なお、2017年以降は性的暴行疑惑による告発が相次ぎ、俳優活動は事実上停止しています。作品と切り離して評価するかどうかは、観る人それぞれの判断になりますが、演技そのものは今でも見応えがあります。
古い映画の「間」というもの
1995年の作品ですから、もう30年前になります。テンポは今の映画と比べると落ち着いていて、観る人によっては「遅い」と感じるかもしれません。 タイトルの「ユージュアル・サスペクツ(いつもの容疑者たち)」という言葉、映画を観終わってから改めて考えると、なかなか含みのある言葉です。「いつも疑え」ということなのかもしれないし、観客自身も「いつもの見方」で映画を観ていたことへの皮肉なのかもしれません。
