2000年に始まったドラマ『トリック』シリーズの集大成として制作されたのが、『トリック劇場版 ラストステージ』(2014年公開)です。
堤幸彦監督、仲間由紀恵(山田奈緒子)×阿部寛(上田次郎)の名コンビが14年の時を経てたどり着く「最後の事件」。
不思議な現象の裏に隠された人間ドラマと、笑いと涙が入り混じる“トリックらしさ”が詰まっています。なお、本作をもってシリーズは完結とされています。
『トリック 劇場版 ラストステージ』の概要
2000年に始まった人気ドラマシリーズ『トリック』の完結編。自称天才マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)と、物理学者・上田次郎(阿部寛)の名コンビが、最後の“超常現象事件”に挑みます。
舞台は海外の小島・マレーシア。失踪した日本人女性をめぐり、現地の宗教団体が“神の奇跡”を起こすと騒がれる中、ふたりはその裏に潜むトリックを暴いていく——。
これまでの笑い・皮肉・どんでん返しの要素は健在で、シリーズらしい“科学とオカルトの対決”が描かれます。
監督は堤幸彦、脚本は蒔田光治。音楽は鬼束ちひろの名曲「月光」が再びエンディングを飾り、14年にわたる“トリック”の物語に幕を下ろします。
公開: 2014年
監督: 堤幸彦
出演: 仲間由紀恵/阿部寛/東山紀之/松平健/生瀬勝久 ほか
配信: Amazon Prime Video、U-NEXT などで視聴可能(2025年時点)
久しぶりの再視聴で感じた“懐かしさ”と“喪失感”
久しぶりに見返すと、まず感じるのは圧倒的な懐かしさ。映像サブスクの良いところは、こうして時間を越えて名作にまた会えることですね。
当時はテレビシリーズも映画もリアルタイムで観ていたのに、この「ラストステージ」だけは“終わってしまうのが怖くて”避けていた記憶があります。でも改めて見てみると、やっぱりこの世界観はいいですね。
ストーリーは王道トリック、そして静かな別れ
ストーリー展開は“トリックらしい”王道の流れ。ただ、ラストは、過剰に感傷に浸らせず、静かに幕を下ろす演出が印象的でした。悲劇のヒロイン化を避けたラスト——あっさりしているようで、深く残ります。
後日談といいますか、エピローグといいますか、直子が姿を消してから1年後の様子が描かれます。封筒のトリックは私覚えていました。確か封筒にあらかじめ穴があけてあってそこからコインをとりだすんじゃなかったですっけ…。
もしかしてまだまだ続くのか?と思わせるようなシーンではありましたが、この映画以降トリックとしては続編は出ておりません。なのでやはりこの映画で完結といっていいでしょう。
音楽の力:鬼束ちひろの主題歌が物語を締めくくる
エンディングで流れる鬼束ちひろの歌声。
イントロを聴くだけでトリックの冒頭の映像ががよみがえるほど象徴的な曲です。シリーズを通してこの楽曲がもつ存在感は大きかったですよね。
監督・堤幸彦の他作品にも共通する“トリック的世界”
『トリック』完結後も、堤幸彦監督は数多くの人気作を手がけています。
たとえば——
-
『SPEC』シリーズ(超常現象×論理の融合)
-
『イニシエーション・ラブ』(時系列トリックのどんでん返し)
-
『明日の記憶』(心理描写の深さ)
-
『人魚の眠る家』(命と倫理を描いた社会派)
どの作品にも、“観客を一度信じさせてから裏切る”堤流の構成美があります。
もし『トリック』が好きなら、これらの作品も必ず刺さるはずです。
そして再び——堤幸彦×仲間由紀恵、11年ぶりの再タッグ
2025年、堤幸彦監督と仲間由紀恵が11年ぶりに再タッグを組んだ新作映画
**『STEP OUT にーにーのニライカナイ』**が発表されました。
“トリックの二人”が再び同じ世界で何を見せてくれるのか——
シリーズ完結から11年、ファンとしては胸が熱くなるニュースです。
総評
『トリック ラストステージ』は、笑いと感動、そして静かな別れの物語。14年続いたシリーズの幕引きとして、とても良い作品だったと思います。私も10年かかってやっとトリックのラストに立ち会えてホッとしています。
