韓国映画「ミナリ」を見ました。
この映画の中心にいるのは、アメリカに移住した韓国系家族なのですが、特におばあさんの存在がどうしても気になってしまいました。「老人は労わろう」という気持ちは十分わかっているけどさー、このおばあさんが家族の足を引っ張っているように見えてしまって...。
正直なところ、「こんなに手のかかる人を家に置いておく必要があるのか?」とさえ思ってしまいました。はっきり言って、映画を観ている最中は、どんどんヘイトが溜まっていくんですよね。
でも、映画が終わった時にふと思い出したことわざがありました。「捨てる神あれば拾う神あり」。神様を「捨てる」「拾う」なんて表現をつかうと、一部の宗教から恐ろしいほど非難されいるかもしれませんね。
確かに悪いことばかりではないんですよ。家族それぞれに事情があり、それぞれなりに頑張っている。特に父親は、人のせいにせず自分の責任で何とかしようとする姿勢は結構立派だと思います。
ただ、その父親もちょっとワンマンすぎるかなと感じました。家族を振り回している部分も多く、特に妻や子どもたちがかわいそうに思えてしまいました。理想を追い求めるのは悪いことではありませんが、家族全体のことをもう少し考えてやれよと。
この映画を観て、一番考えさせられたのは自分自身のことでした。もう私も年齢的にはおじいちゃん・おばあちゃん世代に近づいています。いつか自分も家族に迷惑をかける存在になるかもしれない。
「どうやったら迷惑をかけないで済むか」「家族にとって負担にならないようにするにはどうしたらいいか」そんなことを真剣に考える必要がありそうです。
「ミナリ」は、家族の現実を容赦なく描いた作品だと思います。美しい部分もあれば、醜い部分もある。愛情もあれば、憎しみもある。それが家族の真実なのかもしれません。
映画としては確かに優れた作品だと思いますが、観ていて気持ちが楽になるような内容ではありませんでした。でも、だからこそ考えさせられる部分も多く、そこに価値があるのかもしれません。
家族について、老いについて、そして自分の将来について深く考えるきっかけをもらえた作品でした。
観る人によって様々な感想を持つ映画だと思います。特に私のように年齢を重ねてきた人間には、より複雑な感情を呼び起こす作品かもしれません。
主人公の気持ちに寄り添うべきか、それとも老婆に近づくべきか・・・。
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