2001年5月。世界に誇るリゾート地、フィリピン・パラワン島を訪れていた観光客21人が、夜半イスラム系過激派アブ・サヤフによって誘拐され、ミンダナオ島へと連れ去られる事件が発生する。運悪く居合わせた宗教系NPO団体で働くフランス人、テレーズ・ブルゴワンも事件に巻き込まれてしまう。
2回に分けて視聴するつもりが、続きが気になってどうしようもなかったので、駅のホームで最後まで見てしまいました。
2001年5月にフィリピンのリゾート地から、20人が拉致され、身代金を要求された実話を元にして作られた作品です。
タイトルが21人となっているのは、1名架空の人物が追加されているから。
おそらくあの主人公の女性が追加された1名でしょう。
拉致をしたのは、アブ・サヤフという集団です。
作中に「アッラー、アクバル」と叫んでいることからイスラム教をよりどころにしている集団に違いありません。
大量の兵器を持っていますし、ある程度組織だっていますから、ただのごろつきではなく軍隊です。
それから、ゲリラ部隊にありがちな年端もいかない若い兵士も大勢いました。
人質は殺すためではなく、身代金の要求に使います。家族や国に対して身代金を要求し、身代金が支払われれば解放する。
非人道的な行為の理由は金儲けのため。彼らが金をせびる大義名分は土地を不当に占領されているから。
確かに、金を手に入れたからといって酒池肉林の宴会をするわけでもなく、金ピカの車を買うわけでもありません。
彼らはいくらお金をせしめても、シンプルにジャングルの中で不便な生活を続けます。
病院や小学校に突然押しかけて、食事ややすむところを提供してもらう。
相手が銃を持っているので従わざるを得ないのですが、その見返りとしてきちんとお礼を述べお金も支払う。
身代金要求という彼らの行為と、これら当たり前の行動が意外ですこし頭が混乱してしまいます。
それからイスラム教の信者にとって大切な毎日のお祈り。
これもきっちりとこなします。
このことから考えて、彼らの望みは現世ではなく、来世にあるのかもしれません。
現世ではひどい目にあった、それからひどいこともした。だからもうあきらめているんです。人を殺しても、明日殺されてもいいんです。だってこの世には夢も希望もないから。
リセットされれば、ゲームみたいに新しい人生が始まるんです。そのために今無茶をする。
この拉致問題は、結果的にアメリカの軍隊も介入して解決しました。
解決したというのは間違いですね。人質を何人か巻き込み、ゲリラ部隊を壊滅させました。
果たしてこれが問題の解決になったのでしょうか。映画ではゲリラの何人かは生き残って逃げていました。
長期間の拉致ですから、途中で人質がなくなったり、拉致犯と恋に落ちたりするシーンもあります。
立場によらず人間っぽさを描いているあたりはとてもよかったと思います。
宗教で人は救われなければならないのに、この手のお話は世界中で繰り返されている悲劇ですよね。