アマプラビデ王の日々

プライム会員ならば見放題。人生最高の1本が見つかるまで。。。

サーミの血~アナ雪のモデルとラストシーンの問いかけ

 

サーミの血(字幕版)

サーミの血(字幕版)

  • 発売日: 2018/06/06
  • メディア: Prime Video
 

スウェーデンに住む先住民族サーミ人を描いたこの映画。冒頭に登場する、しわくちゃのおばあちゃんが、妹の葬式で「あそこの人は嫌い」とつぶやき、故郷からできるだけ離れようとする姿に、過去に何があったんだろうと引き込まれました。

 

過去の出来事は明らかにされないまま、画面は若い姉妹の時代に切り替わります。ちょっとぽっちゃりしていて、私たちの想像する白人とは少し骨格が違う、エレ・マリャという少女が主人公。あれ、冒頭のおばあちゃんの名前はクリスティーナだったはずだけど…?と思ったら、おばあちゃんは別の名前で呼ばれると怒っていたような気がします。この名前の謎も、物語の鍵になっているようです。

 

 

映画『サーミの血』とは?

2017年に公開された『サーミの血』(原題:Sameblod)は、アマンダ・ケンネル監督が手がけたスウェーデン映画です。1930年代、スウェーデン北部のラップランドで、厳しい差別に苦しむサーミ人の少女エレ・マリャ(レーネ=セシリア・スパルロク)の物語です。優秀な成績で教師を夢見る彼女でしたが、「サーミ人の脳は文明に適応できない」という教師の言葉に絶望し、差別から逃れるためにスウェーデン人のふりをして故郷を捨てます。自分のルーツを否定して生きようとした一人の女性の、葛藤と悲劇を描いた作品です。


www.youtube.com

 

見どころ:故郷と夢の間で揺れ動く少女

トナカイとともに暮らすサーミの人々は、当時「ラップ人」と呼ばれ、「臭い」「脳みそが小さいから都会に出られない」など、ひどい迫害を受けていました。頭の良かったエレ・マリャは教師になりたいと思っていましたが、この事実に直面し、教師の夢をあきらめるよう教師から言われてしまいます。

 

この映画は、若いエレ・マリャが、世間から自分たちがどのように思われているかを認識し始めた頃から、必死にそれに抵抗する姿を描いています。民族衣装を脱ぎ、親元から離れ、スウェーデン人のふりをして街に出る。彼女が教師になることができたのかはわかりませんが、ただ、自分の家系を憎み、遠ざけて生きていこうとしたことは確かです。

 

どんな人生を歩もうとも、故郷は捨てられないのだ

仲の良い姉妹、トナカイ、そして氷。あれ、これって…そうです、どうやらサーミ人は『アナと雪の女王』のモデルになった民族らしい。彼女が着ていた民族衣装も、なんとなく見覚えがありますね。

 

映画のラストで、エレ・マリャが妹の棺を開けて思ったことは何だったのでしょうか。故郷の狭い世界の中で一生を終えた妹を哀れむ気持ちだったのか、それとも、何者にもなれなかった自分の人生を嘆く気持ちだったのか。重苦しいお話でしたが、心に残る問いかけをしてくる、見応えのある一本でした。