アマプラビデ王の日々

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セディック・バレ~第一部 太陽旗~

 

 

amazonプライムビデオではまだ珍しい台湾の映画です。

 

タイトルは聞いたこともない言葉ですが、サブタイトルに記載されている
第1部 太陽旗に目が留まります。

 

ああ、これはおそらく日本の犯した罪の話だろうと見始めました。

日本の台湾統治は1895年から日本が敗戦する1945年までの約50年です。

 

この統治があったから戦後台湾は急激に発展したという意見もあるようですが、
これはあくまでも統治した側から見たお話。

 

もともと台湾に住んでいた人々にとっては決して喜ばしいことではなく、土地を荒らされ、同じような背格好の日本人に尊厳を踏みにじられたことはたくさんあったと思います。

 

しかしこの映画、単に反日の話としてみてしまうには惜しい内容です。

 


紙とペンを使った教育、物々交換ではなく貨幣経済への移行など台湾統治に伴い進む近代化。

これまでの獣を追いかける生活は不要となり、便利にはなったけど本当にそれでよかったのか。私たちが受け継いできたものはここで滅びてしまうのか。

セディック達の誇りを保つための最後の戦いとでもいえばよいでしょうか。


兵士となる男たちの中にも様々な思いが交錯します。
それから彼らの妻や家族たちの思い、そして日本人から見た彼らの生き様。

各々の思いはまとまることなく膨張し続け、結果的に霧社事件(むしゃじけん)が起きてしまうのです。

 

少年たちが刀を持ち、自分の同級生と対峙するシーンはいいですね。
一瞬迷いが生まれますが、結果的にセディックとしての本能が勝つのです。

これまで眠らされていた本能があそこで解き放たれるのです。


この映画でさらに特筆しておきたいのが踊りと歌です。
あのリズムと特徴的な音は心を揺さぶられます。

 

あの楽曲と踊りは台湾のセディック達から伝承したものなのでしょうか。
太古の昔から受け継がれ、人間のDNAに刻み込まれた音楽ってやっぱりあのような音楽だと思います。


同じアジアの人間だからでしょうか。どの曲も初めて聞いた音楽なのになぜか懐かしく感じます。一緒に歌い、一緒に踊り、一緒に涙を流したくなる。

そんな音楽が絶妙なタイミングで挿入され、映画の完成度をぐっと上げてくれます。


第1部ではセディックの人々が日本人村を襲撃する血の儀式で幕を閉じました。
第2のサブタイトルは虹の橋です。

 

いやね、もう結果はわかっているのですよ。
彼らは間違いなく日本軍から反撃をされてその命を落とす。

 

戦艦やゼロ戦を作れる日本の軍事力からみたら、彼らの兵装は貧弱すぎて戦いになりません。
酋長たちはそれをよくわかっている、それでも立ち上がった。

 

ああ、第2章は悲しい結末になるとしか思えない。
虹の橋を渡って先祖のところに行くと映画で何度もでているので、一人残らず殺されてしまうのでしょうか。

 

ですが彼らが尊厳を保つためにはそうせざるを得なかった。

最後に、この映画ビビアン・スーさんが後半に少しだけ登場しています。
もう何十年も前に見たような気がしますが、イメージは全然変わっていないですね。

 

相変わらず美しい。

 

いまから第2部が楽しみです。久しぶりに感情移入しすぎて泣いてしまいそうです。