シャフト~ピープルが愛おしい。ストーリーは知らん
10回トライすれば10回とも成功する、そんなすごいやつを誰が演じる?サミュエル・L・ジャクソンこそ、現代版シャフトにふさわしい。「ボーイズ’ン・ザ・フッド」の俊英ジョン・シングルトン監督が放つ、”気合いの入った”アクション・スリラー。叔父のジョン・シャフト(オリジナルのシャフトを演じたリチャード・ラウンドトゥリー)が助言者につけば、今回のシャフトが最もクールなやつで、もっとも暑いアクションを展開するのも当たり前だ。差別主義の殺人者(クリスチャン・ベイル)に勝手な真似をさせないよう、シャフトは犯人を刑務所に入れる唯一の目撃者(トニ・コレット)を探し出す。だが、シャフトが犯人に近づけば、近づくほど危険が増す。それでもシャフトは真っ向から勝負。汚職警官と凶暴な麻薬密売人をやっつけろ。シャフトが、犯罪のつけを払わせる!
ドミニカ人麻薬組織のボス、ピープルズ。彼を見るのが楽しい映画です。
まずね、名前がものすごい違和感がある。ボスなのに人々ってどういうことだ?
一人称ではなく、マフィアの組織全体のことを話しているのかと思ってしまい、しばらく混乱してしまいました。
そして、その登場も鮮烈です。
麻薬工場となっているアパートに強行突入したものの、物証が少なく警察内部の情報が漏れている事がわかります。
道路を挟んだアパートの窓のふちに腰掛けて、悔しがる警官を見物している男。それが、この町のボスであるピープルズ。
エジプト産の高級な白いステテコを身に着け、大きな四角い弁当箱を持ち、メシを食っているのです。
その弁当箱は昭和初期を思い出すようなアルミ色、シルバー。
マフィアのボスといったら、薄暗い店内で裸同然の女性に囲まれて、ワインを飲んで、血の滴る肉を食べながら、ピストルをぶっ放すのが定番でしょう。
なのに、なぜステテコ?なぜ弁当箱?
それを発見した今回の主人公シャフト。
バスケットボールを投げると、ピープルズの頭に当たってしまいます。
それがきっかけで、弁当箱がひっくり返り、残念な事に胸元に大きなしみができるじゃありませんか。
お弁当の汁が染み付いた白いステテコを着いたままシーンが進んでいくものですから、渋いシーンも凄みがあるシーンも、なんかマヌケに見えてしまうのです。
もー、ピープルズ大好き。
無事に釈放されたピープルズですが、もう一人の悪いやつが彼の屋敷を訪ねてきます。
内装なんかはマフィアのボスっぽい感じでいいですが、なにやら会話がおかしい。
ちょっとピントがずれているというか、意味がつながらないというか。
いろいろな映画で活躍するちょっとズレたキャラってどうやって作りこむのでしょうかね。会話や行動に矛盾を持たせるけれども、意思は伝えないといけない。
不思議ちゃんとまとめられがちなこのキャラクター、結構奥は深そうです。
それからもちょくちょく笑いを振りまいてくれたピープルズですが、やっぱり最後はシャフトにやられてしまいます。
あーあ、残念。
で、肝心のストーリーですが、かっこいい警官がおりましたとさ。
ルールは逸脱するが、必ず事件は解決される。
女性にはモテモテ、上司は彼の行動にあきれてはいるものの信頼している。
銃の腕も格闘技もチート級。
悪を成敗してハイ終わり。
現実的では考えられませんが、映画の世界では良くある設定です。
でもラストはなかなか衝撃的でした。というかなんだかやるせない気分になりました。
彼女はほとんどセリフはなく、登場したのは映画全体をあわせても数分でしょうが、かなり重要な役ですよね。
一方、金持ちのぼんぼんは準主役級にも関わらず印象に残らなかったな。メインのストーリーはともかくその周りはとても楽しめた1本でございました。