アマプラビデ王の日々

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ソウルガールズ~アボリジニの迫害の歴史は知っておくべきだ

 

ソウルガールズ [Blu-ray]

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1968年、オーストラリア。アボリジニの居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹と従姉妹のケイは幼い頃より歌が好きで、カントリー音楽を歌いながらスター歌手になることを夢見ていた。だが根強く残る差別から、コンテストに出場してもあからさまに落選させられる。そんな状況から抜け出したいと思っていた矢先、自称ミュージシャンでソウル狂いのデイヴと出会いソウル・ミュージックを叩きこまれることに・・・。

カントリーミュージックを歌っていたアボリジニの4人娘が、ベトナム戦争の慰安シンガーとなり有名になるお話です。


グループの名前は「ザ・サファイアズ」。その前のグループ名はカザフィ……、ファス……、なんだったかな。


あのインチキプロデューサーみたいなリアクションになってしまった。


映画の中でもグループの元名前をいうシーンが何度か繰り返されましたが、あんな難解な名前覚えられないですよ。

 

登場する曲は10曲くらいですかね。本人が歌っているわけではなく、プロの歌手の声をかぶせてあります。イヤホンを通してですが、この音楽のシーンは結構感動します。

 

それよりもこの映画、アボリジニや黒人の差別についてかなり辛辣に描かれている点に注目したい。

 

冒頭に3姉妹でコンテストに参加したときなんかひどいですよね、周りの反応が。
まー、よくもあんな汚い言葉平気で言えるなと思うのですが、それよりももっと恐ろしいのが盗まれた世代(Stolen Generations)のお話ですよ。

 

これ、北朝鮮の拉致とほとんど同じというかもっとひどいかもしれない。

 

1870年から1970年にかけて、オーストラリア政府は、アボリジニの居住区を強制的に決めてしまいます。


もしかしたらこれは、白人を含めた海外からの居住者の差別や略奪、暴力などからアボリジニを守る目的があったのかもしれない。

 

まあこれは当時の事情を鑑みてギリギリセーフだったとしましょう。続いて行われたのが白人っぽい子供を親から引き離すことでした。

 

これは意味が分からない。Wikiなどによると、混血の子供の中にはアボリジニよりも色の白い子供が生まれたらしいです。その子供を親から取り上げ、強制的に孤児院などに送り込むというもの。

 

これって拉致ですよね。しかも政府が強制的にって恐ろしすぎますよ。

映画の中でもケイが言いますよね。「私も同じ黒人、色素が薄いだけ」。


そうですよね、違いはあったとしてもそこまでやる必要があるのか。というか、黒も白も黄色も関係ないだろうに。戦場で死にそうなのに黒人の治療は受けないと騒ぐ白人兵士。なんというかこの時代だからですかね、本当に無茶苦茶で、今では考えられない状況です。

 

途中に姉妹の確執があったり、インチキプロデューサーとの恋があったりとエンターテイメント的な要素が付け加えられていましたが、そんなものは本当にどうでもよい。

 

アボリジニの迫害の歴史が知れただけで、私は十分満足です。当時彼女達が置かれた状況を考えると、何とも言えない気持ちになりました。

 

これ、どこかで見たことがあるなと思ったら、ドリームガールズですね。物語の流れなんかもかなり似ている。ある程度参考にしているところは間違いないはず。

 

 

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ただ、アボリジニの美的感覚としてはちょっぴり太目がキュートなのですかね。
かわいいというよりかたくましい感じの女性が多いです。

 

ラストでケイがアボリジニの儀式で再び迎え入れられるシーンはいいですね。ラブシーンよりはそういうシーンがもう少し多いほうがよかったなー。

 

好きにならずにはいられない~そのやさしさだけで、彼女を救うことはできるのだろうか

 

好きにならずにいられない [DVD]

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アイスランドに住む43歳独身、心優しい大男フーシ。空港に勤めているのに飛行機に乗ったことがなく、同僚には巨体をからかわれ、近所の女の子と遊んでいると幼女誘拐と間違われる。そんな冴えない日々を送るフーシの楽しみは、戦車や兵士の小さなフィギュアでジオラマを作って遊ぶこと。見かねた母は、息子に出会いのチャンスを作ろうとダンス教室を申し込む。しぶしぶ出かけたフーシだったが、そこで金髪の小柄な女性・シェヴンと出会い、陽気な彼女に惹かれていく。しかし実は、シェヴンは心に深い傷を抱えていた。その事を知ったフーシは、恋した女性を守るため、初めて自分から外の世界へ飛び込んでいく・・・!

 

イケてないおじさんFusiが恋愛をする話。

 

モテるためにおしゃれして、ダイエットしてものすごくイケメンになりました~って
話でないところが非常にいいですね。

 

序盤からFusiはひどい扱いを受けますが、中盤少し持ちなおします。


ですが、映画の合間に挟まれる暗く冷たい映像からハッピーエンドで終わらせないという意思を感じました。

 

いい感じに進むけれども、また拒絶されてしまう。


初めてダンス教室に行った感想を聞かれたとき、Fusiは「3歩進んで2歩下がる」と言いました。まさにこの状態が続きます。

 

愛しのあの子と一緒に住む話まで出たのに、土壇場で拒絶されてしまうあんなひどい仕打ちを受ける理由はないのですが、彼は何も言わず引き下がります。

 

その後しばらく連絡を取り合わなかったことから考えると彼は振られてしまったのでしょう。

 

一人でエジプトへ行くシーン。最後この映画では貴重な彼の笑顔が見られるのです。

 

私、この笑顔は初めて海外に行くのが楽しみなので思わず出てしまったもので、彼女のことを考えて幸せを感じたからではないと思っています。

 

最後はやっぱり一人きり。

 

Fusiは誰も傷つけず、自分自身が一番落ち着く方法を選んでここまでやってきた。例えば、恋愛をしないことや古くからの友人を大切にすること。だけども周りはそういう目でみない。


いい年になって、恋人もおらず、子供のような遊びをしている人はすべて変人なんですよ。

 

周りからそういう目で見られていることもよくわかっている。だから余計にひきこもる。できることができなくなっていく。

 

毎日同じようなものを食べ、同じようなスケジュールで動く。ダサいけど悪くないとか、犯罪を犯すような人じゃないというのは決して誉め言葉ではないですが、この言葉が彼を現していると言えます。

 

私が思うに、Fusiってあの子のことを好きだったのでしょうか。悪く言えば恋愛ってものを誤解している。

 

目の前に死にそうな子犬なり子猫がいたら助けますよね。たぶんそんな気持ち。

 

彼女家の窓を破壊して、侵入するのも彼女が恋しかったわけではない。
そうしなければ死ぬと思ったから。料理も掃除も彼女をお風呂に入れたのも同じ理由です。あの店を買うのも異常です。でもそうでしか愛情を表現できなかったんですよね。

 

かわいそうと思う気持ちと、やっぱり何らかの精神疾患があるんじゃないかという気持ちと、自業自得だよねという気持ち。

 

私はたまたま結婚して子供ができましたが、Fusiになる素質は十分ありました。

 

なんだか他人事とは思えないような映画でしたが、やっぱり恋愛映画はハッピーエンドがいいなぁ。

ミッションワイルド~女性軽視はいかんというお話でいいのかなぁ

 

ミッション・ワイルド(字幕版)
 

19世紀アメリカ、ネブラスカ。小さな集落で暮らす独身のメリーは、病で豹変した3人の女性をアイオワの教会まで連れて行く役目「ホームズマン」に立候補する。そしてその直後、彼女は木に吊るされた悪党ブリッグスに遭遇、処刑寸前だった彼を、旅に同行することを条件に助け出した。こうし……

 

えー、ちょっと意味が分からない。何をどう考えたらいいのかさっぱりわからなかったのですが、当時の女性たちがひどい扱いを受けていたという理解でいいのかな。

 

初めに書き留めておきたいのが、主役のメアリー。
このメアリーはこの映画の中では唯一まともな人なのですが、なんだかこの人に対して強い苛立ちを感じてしまうのです。

 

この感情がどこからきているのかわからないのですが、とにかくあの事件が起こるまではアップになるたび、何か諭すような話し方をするたびイラついて仕方がなかった。

 

何とかならないと思っていたところにあの事件。


本当ならば「いい気味~」なのですが、どうしようもなく哀れに思えてきて、何かの見間違いであってくれ、ひょっこり戻ってきてくれと思ってしまいました。

 

なぜ彼女に対してこれほどの不快感を感じたのか。

 

もしかしたら映画の中の時代にそぐわない異物と認識し、彼女を排除したいという気持ちが沸き上がったからかもしれません。

 

西部劇なので時代背景は今から100~200年前くらいだと思います。畑を耕すのに牛を使っていますし、電気はなく蝋燭で明かりを取り、移動は馬が中心です。

 

メアリーは働きもので上昇志向もあり責任感も強い。頭もよいし、料理はできるし、お金もしっかり管理している。唯一彼女が心配しているのは31歳という年齢で、当時だと婚期を逃した女性と評価されてしまいます。

 

年齢の問題はあるが結婚相手として申し分ないはず。しかしそう思っていたのは自分だけ。親切にしていた男からは「そんなつもりなかった」と振られてしまいます。

 

女性からあんな言い方されたら男は逃げると思いますよ。自信がありそうに見えて、実は全く自信のない態度。あれもいけない。

 

それから少しお話は進み、頼りない男の代わりに、3名の気がふれた女性をとある街まで送り届ける役目を担います。道中にいろいろなことがありますが、それを何とか乗り越えて……。

 

彼女は強く自立した存在です。それと比べて同行の3名の女性はトイレすらまともにいけない。しかし、この時代自立ができていない女性のほうが普通であった。

 

精神を病んでしまった女性は、全員男からひどい扱いを受けていました。今ですと間違いなく虐待になりますが、当時はこれがあたりまえ。

 

「お前たちが我慢すればこんなことにはならなかった」というセリフも映画の中にはありました。つまり、女は道具のように取り扱われ、人権を無視されていたのです。

 

普通の精神を持つ女性であればおかしくなって当然の世界です。気のふれた3名のほうが正常で、自立したメアリーのほうが異常というちょっとおかしな状態になってきます。

 

強いメアリーでしたが、実は彼女の精神も少しずつ蝕まれていました。


自分の力でしっかりと生きているのに、それが報われない。頼りない男ばかりがクローズアップされ自分自身は見てくれない。

 

あの夜、ブリッグスに救いを求めたのは自然な流れだったと思うのです。
しかしそれすらも拒絶されてしまう。

 

彼女は夫が必要だったわけではなく、ただだれかに認めてほしかっただけ。
女性を街に運んだあと、そのまま都会で暮らせばよかったのにと思いましたよ。

 

小さな田舎町では男性は少ないですし、考え方も保守的になりがちです。彼女を認めてくれる男性は現れなかったでしょう。ですが都会であれば違ったかもしれないのに。

 

墓標が川に落とされるシーンも悲しいですよね。

 

お金を使い果たしたブリッグスが、墓標を作り直すことはないでしょう。


名も知らない男に足蹴にされて捨てられるほど、女性は軽視され、忘れ去られた存在だったのだと思いました。

 

原題はThe Homesmanです。

 

Homesmanというのは、開拓地で暮らせなくなった人を出身地に連れて帰る人らしいのです。

 

これはアメリカの歴史の知識がなければ知らない言葉ですよね。

 

私はメアリーが2度も求婚したことから、Hasbandの古い呼び方か、夫未満の男性を指しているのかと思いました。なんでミッションワイルドってタイトルにしたのだろうか。これじゃさっぱり意味が分からないじゃないですか。

ミッションはともかくワイルドは野生とか荒野ってイメージでいいのかな。

 

最後までなんだかもやもやした1本でした。

 

次はもう少しスカッとしたやつがいいな。